月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

久々にできた新しい友人、PHP

私は「友達百人できるかな」に懐疑的です。小学校に入学するときにこんな歌を聴かせるべきとは思いません。無味無臭な百人の友達より、刺激を与えてくれるたった一人の友達のほうを選びます。

しかしそんな私にも是非友達になりたいという人が現れました。いや、人間ではなくて本なのですが、PHPという200円の月刊誌です。

病院の待合室に置いてあったのを読んで凄く良かったので年間購読しました。

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有名な人たちのコラムによって構成される薄い本なのですが、こういう考え方もあるのかという発見があるので、普段狭い世界で生きている人間としてはすごくありがたい存在です。

今月のコラムで一番おもしろかったのはお笑いタレント近藤春菜さんのコラムでした。要約すると、

昔から太っていて小学校の頃にブタと呼ばれてからかわれていたが、「ブタじゃないよ」とつっこむことで自分の気持ちが楽になり、周りにも笑いを与えられた。普段家では面白い父の影響で自分も人を笑わせることが好きになり、みんなを笑わせることでクラス内での居場所も見つけられた。笑いが生まれると、その瞬間に人の心が少し開く。相手の心が開けば相手のなかに入って行けて、仲良くなれる。

こんなかんじです。

私は自分の思考が汚染されないことを大切にしています。子供の頃は誰でも自由に発想して自由な夢を持っていたのに年を取るにつれて現実的、保守的になっていきます。私はそれが嫌です。会社員生活の6年間でだいぶ丸まってしまいましたが、塾を開いてからまた子供っぽい自由な発想が出来るようになってきました。

人間は群れたらおもしろみを無くす生き物だと私は思います。大人になって群れるようになると、群れのなかでの常識を強く気にするし、常識から逸脱した人を叩いたりそういう人の足を引っ張ったりするようになります。どんどん「普通の」人間になっていきます。当然、群れることによるメリットもあるかもしれませんが、私にはデメリットのほうが大きく感じます。

誰とも群れないかわりに自分の思考が凝り固まらないようにそこそこ上質な思考を仕入れる必要があって、PHPは役に立ちそうです。

 

  

心を揺さぶる88の名言 2016年 10 月号 [雑誌]: PHP 増刊

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「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)

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こういう勉強のやりかたがあるのかという面白さを伝えたい

私が塾で教えている内容や教え方は、基本的にパクりです。オリジナリティというのはあまりありません。このことは以前にも書いたと思います。

数学は私が高校時代に通った塾の先生の教え方を真似させていただいています。高校卒業後にその塾で雇っていただいたときに覚えたやりかたでやっています。

英語は高校3年の秋に出会った奇跡の一冊の参考書に影響を受けており、大学時代にその著者の参考書を買い漁って勉強して、参考書とほぼ同じような解説をどんな英文に対しても作れるようになりました。

塾で教えていて楽しいのは、数学でも英語でも「こういう勉強のやり方があるのか」と十数年前私が感じたことを今の高校生たちに教えられることです。なぜこんなに合理的で再現性の高い勉強方法が高校の授業で採用されないのかと思うこともありますが、大多数の高校生たちはなんとなく学校の指導どおりに受験して教師になっていくことを考えれば、まあそんなもんかなとも思います。

もちろん塾の生徒全員にたいしてハマるわけではなく個人差がありますが、入塾後の数ヶ月で劇的に変化していく様子をみると、塾を開いて本当によかったと思います。自分が感動したことを人に伝えられるというのは格別です。前職でどんな案件を決めたときよりも、断然嬉しいですね。「〇百万円が売れた」とか「締めに間に合った」とか、嬉しいのはその30秒だけです。この点で私はあんまり営業向きじゃないですね。

さて、授業内容についてはもったいぶって秘密にしているわけではないので、「授業の様子」カテゴリーから私の塾の授業の様子をぜひご覧ください。

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部活が高校生活に彩りをあたえてくれるのではないか

塾の生徒が

「先生は部活に反対していますが、部活はみんな楽しくてやっているのであって、それをやめてしまったら楽しいことのない生活になってしまうと思います」

と意見を述べてくれました。

年上の人に意見をするのは簡単なことではないと思うので、こうやって考えを述べてくれると私は結構嬉しいです。この調子で、どんどん考えて発言できる人になってほしいと思います。

さて、この意見にたいしての私の考えは、

「はい、その通りです」

です。結局、部活を楽しみつづけるかどうかというのは、人生をどう生きるかという問題なので、その人が良いと思えば私は口を出せる権利はないんです。だから、楽しい部活を続けて楽しい高校生活をおくって、楽しい思い出を作ることに人生の意味があると感じるのであれば、それはその通りです。

しかし、塾に来る生徒というのは基本的には行きたい大学があって来ています。また私の塾は一応「難関大志望者あつまれ」といっているので、みんな目標が高いです。

そういう高い目標を立てて、本当にそういう大学に進学したいのであれば部活を楽しむ時間はありません。たしかに部活を引退したあとで本気出して受かった、という例もあるのでしょうけど、人生を左右しうる大学受験でギャンブルをする必要はなくて、合格する可能性を最大限高める行動だけするべきです。

部活と学校の宿題で時間がなくなってしまって、私が「最低限これをやってくれ」という分量を出来ないのであれば、部活をやめるか一昨日来やがれ、ということです。口だけ達者で行動が伴わないのは、いただけません。

部活を優先するか勉強を優先するかというのは、「今」楽しいことに時間を費やすか、「5年後に」楽しいことのために時間を費やすかということと等しいと考えています。当然、5年後に両者を比較してみたら、5年後のために行動していた人のほうが欲しいものを手にしています。

ちなみに私は3年前27歳のときから、5年後の32歳のときの目標を明確にして仕事を変えるという行動を選択しました。その目標は計画通り達成できそうで、今は10年後の目標を明確にし始めています。私は刹那的に生きることで時間を使いたくなくて、5年後、10年後の目標のために常に行動したい考えています。「今この瞬間を」楽しむよりも、はるかに人生が豊かになります。人間50年は夢幻のごときなりと織田信長はいいましたが、人生はたぶん一瞬で終わります。だからこそ、時間の使い方はよく考えなければいけません。

ということで、「勉強のほうがリターンがあるじゃん。これにたいする反論を考えて来て」と言って宿題としました。「先生の意見は正論すぎて難しいです」と言っていましたが、綺麗に反論することよりも答えのないことを考えることが大切です。

しかし私が正論人間だというのは、youもよく分かっていますね〜。

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高校生英語クラスの様子

高校生の英語クラスは和訳演習を中心に授業を作っています。和訳問題といえば国立大学で出題されるのが中心で、私立大ではほとんど出題されませんが、私立専願だろうと国立志望だろうと教える内容は変わりません。

英語を正しく読めるようになる訓練が最優先で、そのために和訳演習というやり方が最も適しています。

和訳で出題するのは英文の構造や複雑なもの、等位接続詞のつなぐものが分かりづらいもの、品詞判断が難しいもの、など取り扱う英文のなかでとくに頭を使うセンテンスを選んでいます。

When we take action on the things that truly matter deep in our hearts, move in directions that we consider valuable and worthy, clarify what we stand for in life and act accordingly, then our lives become rich and full and meaningful, and we experience a powerful sense of vitality.

たとえばこの英文は、従属接続詞がwhen1つで構造としたらwhen(S+V), S+Vで中学生でもわかるようなシンプルなものですが、andのつなぐものが長くなっているのでどこから主節が始まるのかの判断が難しいです。

等位接続詞のつなぐものの判断は、 A and BでAとBの品詞が同じというのは当然として、AとBで語数につりあいがとれていることがとても大切です。

When we take action on the things that truly matter deep in our hearts, move in directions that we consider valuable and worthy, clarify what we stand for in life and act accordingly, then our lives become rich and full and meaningful, and we experience a powerful sense of vitality.

この英文だと下線部をほどこした箇所はすべて関係代名詞が用いられていてバランスがとれています。

When

 we take action on the things that truly matter deep in our hearts,

 move in directions that we consider valuable and worthy,

 clarify what we stand for in life

  and act accordingly,

までがwhen節で、

then our lives become...

が主節と判断できます。

等位接続詞はバランス感覚が大事です。

仮定法がどうとか、比較の構文がどうとか、そういう文法事項は読めばわかるのであってわざわざ授業で教える必要はありません。また、そういう文法事項をひたすら生徒に詰め込んだところで英語を正確に読めるようになるとは私は考えていません。文法問題は解けるようになるかもしれませんが、英文読解力は中学生のままでしょう。

高校で教わるリーディングというジャンルのものは、せいぜい教科書の訳語を与えられるだけでリーディングというよりは写経のようなもので、教科書と同じ英文が出題されるならまあ効果あるでしょうねと思いますが、そんなことはありません。

文頭のwhenを見たらその瞬間に何を考えるとか、等位接続詞のつなぐものをどう判断するのかとか、なぜ単純な受動態なのにみんな能動態と見間違えるのかを説明するとか、文法の参考書には載っていないが最優先で学ぶべきものがあります。

参考書を置いてある本棚に、文法の問題集と単語帳しかない人は、残念ながら英語の一番楽しい部分で、一番読解力に結びつくことを学んでいません。 

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歩くときに足下をみる人はいませんが

人間って歩くときは10mくらい先をみて歩くし、自転車だとそれが10m-20mになり、自動車で50mくらい先をみて運転しますよね。歩くときに足下だけみていたらそのうち電柱にぶつかってしまうし、自転車で2m先しか見ていなかったら歩行者にぶつかってしまうし、車だったら信号無視して交差点で事故してしまいます。だから、みんな少し先をみながら進むわけです。

しかしこれが人生という道のりになると、とたんにみんな足下しかみなくなってしまうんです。夏休みに遊ぶのも、部活に励むのも、未来のための行動ではなくて今その瞬間に自分が楽しいかどうかというだけですよね。部活に励む人は人間関係とか努力の大切さとか文武両道とか色々言い訳があるでしょうけど、「大学に入ってからじゃだめなの?」にたいする説得力のある答えを持っている人は多くありません。

部活に励むとしても、努力したリターンが県大会〇位の賞状くらいである高校生活の部活よりも、難関大学の体育会系で4年間頑張って三菱商事の内定くらい勝ち取ったほうがはるかにリターンがいいんじゃないかと私は思います。私自身は大企業の内定に価値を感じませんが、一般的にみて退職までに普通のサラリーマンの2-3倍のお金を稼げる商社で働けるのなら良いのでは、という話です。

受験生で夏に遊んでしまうのは論外ですね。もはや言うことはありません。

さて、一つ複雑な問題を紹介します。受験生で勉強をやっていても、足下に目がいってしまう生徒というのがいるのです。どういうことかというと、勉強の結果がすぐに出ないと不安になってしまうという症状のことです。受験勉強自体は4年後、5年後の自分のための行為ですが、勉強一つ一つは数ヶ月後の自分のための行為です。塾に来る生徒だと早くて2ヶ月くらいで結果が出てくる生徒もいますが、多くは半年、長いと10ヶ月以上かかる生徒もいます。中学生の勉強と違って高校生の勉強というのは結果が出てくるまでに時間を要するものです。このことを理解しておかないと、2-3ヶ月勉強しただけで結果がでないことに不安になったり、模試でひどい偏差値をとってもうダメなんじゃないかと悩んでみたりしてしまうわけです。私からしたらそんなことで悩んでいるヒマがあったら1問でも多く問題を解いたらと思うのですが。

何にせよ、今日という一日を一瞬だけ楽しんでおわるのではなく数ヶ月後数年後の自分のために使ってほしいです。

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