月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

強制せず自発的な行動を促すことで、勉強に向かうこと

相伝学舎では中学生も高校生もほとんど宿題を出しません。高1、高2とも毎週英単語のテストを実施していますが、それが出来ないからといって何か私に文句を言われるわけでもなく、淡々と進めています。宿題を出さないでも、高1は今のところ数学の出来が各学校内で上位1割程度で推移しており、それぞれの受験生活のスタートとしては悪くない状況です。

さて、一般的に中学生向けの塾で多いのは、授業時間も多ければ宿題も多い、そしてテストの結果が上がっていくというものではないでしょうか?授業と宿題でたくさんの問題演習を実施することで解法や解答を暗記していくのは、学習範囲が狭い中学生だから出来ることです。

範囲が狭いから、授業と宿題でちょっと無理をすれば「これをやりなさい」と言われたものをやるだけで結果が出るというカラクリです。中学生が「塾に行きたい」と自分から言い出したとしても、このカラクリで勉強を強制させられることは、自発的ではありません。言い換えれば、そこに自我は芽生えないということです。

中3になって「友達も塾に行き始めたから、僕/私も塾に行きたい」と全国の子供が言い出して、通った先がひたすら宿題宿題そして授業も演習演習だとしたら、確かにテスト結果は上がりますが、自分から考えて行動を始めるという心の成長は止まります。

そして、そうやって得た内申点で立派な高校に通っても、3年後の大学受験は上手くいきません。「やらされる」ことに慣れているからです。相伝学舎周辺の高校(西春や五条)は、学校の宿題が多いのでさらに自我の発育が遅くなります。そして、同じ内容の勉強をやるにしても、それが宿題なのか、自発的に取り組むものなのかで効果はまったく違います。前者はとにかく早くやり終えたい気持ちがあるので、プリントの解答欄を埋めることが目的なのに対し、後者は「この問題を理解し覚える」ということが目的ですから、得るものが異なるわけです。トップクラスの高校で、自由な校風の高校が多いのは、膨大な自由時間のなかで生徒自身が自発的にやり始めることが何より大切だということを理解しているからです。

--

大学受験が高校受験と異なる点のなかで、範囲が格段に広くなるというものがあります。これは中学向け塾方式で、演習演習・宿題宿題では乗り切れない範囲です。そこで求められるのは本当の意味の自発的な行動です。中学生が「塾に行きたい」というのは自発的ではありません。周りがそうだからそうするだけですから、一見自発的な発言にみえてもそれは無意識の強制です。

大学受験において、膨大な範囲の勉強を乗り越えるために必要なのは、自発的な行動を促す動機です。塾で提供すべきなのは膨大な量の宿題ではなく、自発的な行動を促す動機を一緒に考えることです。

動機というのは人によって様々ですが、根源的な欲求を掘り下げることです。それは「ブランド力のある大学に行きたい」とか「かっこいいから」とか、単純な理由であればあるほど良いです。日本では毎月10万円も稼げれば不自由なく暮らせてしまいますから、そんな環境で育つとどうしても欲望というのは少なくなります。ましてや、不況と言われ続けてきた昨今において、とくに地方では希望を持つことがある種ムダな行為に思われがちです。

だからこそ、どんなに些細なことであっても本音の、そして根源的な欲求であればそれをスタート地点にして人生の目標を立てる、行きたい大学を考えるということはとても貴重で尊い思考であるように感じられます。

どこの大学に行きたいのか?と初めて来た生徒に聞くと、もちろん本音をしゃべりづらいというのはあると思いますが「行ける範囲で国立で・・・」とか「名古屋大学くらい・・・」とか消極的な意見が少なくありません。こういう消極的、そして現実的な考えというのは根源的な欲求から来たものではなく、「相場」で考えているから出てくるものです。今までの自分から考えてだいたいこのくらいだろうか、とか、今通っている高校から考えてこのくらい、とかいうように、「今自分がどうしたいか」という自我の欲求から目をそらして、自分の外の世界に価値観をゆだねてしまっているのです。

「本当は?どこにでも行けるといわれたらどこがいいの?」と聞くと、だんだん自分の欲求に近づいていくようです。

もちろんすぐ決めなければならないものではないので、ゆっくり考えてもらうケースもありますが、誰に対しても同じなのは「現在の学力は無視して本当に行きたいと思えるところはどこか」というスタンスで考えてもらうことです。

本当に行きたいところがあれば、そこに行くためにはどの程度の学習が必要なのか?何をしなければならないのか?だんだんと自分から考え始め、そこで授業や面談で「こういう学習が効率的だ」と伝えていくことで、自発的な行動が始まっていきます。

これは今生徒が高1だからできることで、これが高2の終わり頃に入塾する生徒になってくると、「現在の学力は無視して」というのは難しくなってきます。高1であればまだ3年の時間があるので一見難しい目標に見えても、そこに行く道は確実にあります。あとはその道を進むために自分がやるかやらないかという、ただそれだけです。

--

高1は夏休みをきっかけに受験勉強を始めに来て下さい。

高2はもうそろそろ最終便です。

中3は夏休みに総復習をしましょう。

 

清須市の大学受験、塾 相伝学舎

相伝学舎ホームページ

相伝学舎facebookページ