月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

西春高校や五条高校の管理教育は素晴らしい!

 空はまだ夏模様ですが、夏休みというのは特にこの辺の高校に通う現役生にとっては良いまとまった時間ですね。というのも、学期中はとにかく授業・宿題・毎週のテストで忙しそうなのです(特に西春高校、五条高校)。はっきりいってこれらの高校の勉強の指導は、やり過ぎ!生徒を適当な地方公立大学に飛ばして何の意味があるんでしょうか?と思ってしまうんですが、たぶんこう思っているのは私だけで愛知県の人は「コッコウリツ」という響きが好きです。ですので、私がなんといおうと大部分の人にとっては「コッコウリツに行ければいいんですけど!」と言われて一蹴されて終わりです。そして人生、誰がなんと言おうと本人が幸せなのが一番なので、コッコウリツ信仰を中心とした尾張地域の公立高校の管理教育というのは合理的だと言えます。

このコッコウリツ信仰は、愛知県周辺には良い私大が無いのが大きな原因でしょう。関東であれば早慶上智があり、そこに届かない生徒はコッコウリツに行けなくてもマーチレベルに合格出来れば受験の結果としては悪くありません。関西にいけば、関関同立といったそこそこのレベルの私大があります。また、京都大学・大阪大学・神戸大学などハイレベルな大学に選択肢があります。一方、愛知県にはそこそこのレベルの私大の選択肢がほとんどなく、かといって名古屋大学は難関すぎる。とすると、目が行くのは三重・岐阜・名市・名工などの国公立大ですが、このあたりを目指すなら同じレベルの地方国立は山ほどありますから、三重がダメでも福井なら、くらいのノリで国公立を目指すようになるのでしょう。
 
この管理教育は考え方によっては合理的で、一部の人にとっては完全にマッチした素晴らしい教育です。では、どういう人にとって素晴らしいと言えるのか。

それは、「これらの高校に第一志望で普通に受かった人」にとってです。学校(及び予備校)というのは数百人単位でのまとまった集団にたいして同じ授業を提供しなければなりません。当然、100人中100人全員にぴったりの授業なんてものはありえませんから、上か真ん中か下かどこかに合わせる必要がありますが、普通に考えて真ん中からやや上レベルに合わせることになります。学年順位で言えば300人中の70-200番程度でしょうか。
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これらの生徒にとっては、頑張って高校の授業や課題についていけば、適当なコッコウリツ大学に受からせてもらえます。なぜ「受からせてもらえる」と表現するかというと、自分で色々受験情報を調べたり塾や予備校、そして市販の参考書を使う労力を全てサボって、学校に100%依存するだけでコッコウリツに受かるからです。普通、一番頭を使うのは実行段階ではなく計画段階ですから、実行さえすれば良い受け身というのは極めてラクです(本人にその自覚は無いと思います)。

では、200-300番手の生徒はどうでしょうか。この層は高校入試時点では「ボーダーラインギリギリで受かった」層であることが多いでしょう。
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授業や課題についていけないし、しかも一度つまづいてしまえばあとは卒業までずるずるとつまづきっぱなしで、かといって0からやり直そうにも学校の宿題に追われて新しいことが出来ずに、県内の私大に進学していくことになります。この層は本来、一度学校の授業のペースから離れて、すべて自分で勉強のプランを組み立てなおす必要があります。本人は不安があって予備校を検討し出すのですが「塾や予備校なんて行くな!」と先生に言われて躊躇してしまう人も多いでしょう。ですが、勉強のやり直し方は学校の先生に聞いてもあまりうまい返答はもらえません。また、やり直しの計画を立てたところで学校の宿題が忙しすぎて自分の時間が作れません。かくして、高3の冬までずるずると引きずられて勉強が不完全燃焼のうちに入試を迎えます。

次に、1-70番の生徒について。西春高校や五条高校において1-70番手の生徒というのは、おそらくですが「一宮高校をチャレンジしたけれども不合格で滑り止めで進学している」、もしくは「通学の問題があって一宮高校にチャレンジ出来るけどもせずに西春や五条に通っている」パターン。
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彼ら/彼女らはもともと頭の作りが1ランク上なので、学校の授業にはついていけるし宿題も苦にならなず、最終的には70人中の20-30人は名大に合格し残る30人は三重岐阜あたりに合格していくことになります。私が勿体ないと思うのはこの層の人たちというのは学校の授業を捨てて自分で勉強計画を立てれば東大京大は厳しくとも東工大、一橋大、早慶は努力次第で狙える学力があるにも関わらず、学校に勉強を大量にやらされるあまり、勉強した気になってしまって現状(=名大に行ければいいや)に満足してしまうことです。
しかし、この学力の層の生徒であっても自ら勉強計画を作って実行するようになることはないでしょう。これらの高校の指導は、生徒には計画など考えさせずただひたすら実行させるだけ、学校の言うことを聞いておけばOKだから何も考えるな、という思考停止状態を前提として成り立っています。生徒が考え始めてしまったら、現状の全体主義的な学校運営は難しくなってしまいます。
不確かな時代においてこの教育のあり方は私には良いとは思えませんが、これからもきっと続いていくのでしょう。
 

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清須市の大学受験 相伝学舎
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