月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

市販の大学受験参考書が素晴らしい理由は競争原理にある

大学受験においては、市販の参考書がとても充実しています。初学者から東大受験生まで、どんな科目でも自分の学力にぴったり、かつ参考書の雰囲気もぴったり、というものが必ず存在します。それだけ選択肢が豊富です。

参考書選びを間違えなければ、超効率よく勉強できるのが大学受験の科目なのです。私は今、高校時代に習得できなかった物理を独学で勉強しているのですが、厳選した参考書を使っているので本当にわかりやすいです。「物理ってこんなに簡単なのか?」というくらい感動的にわかりやすく、高校時代に受けたあの難解な授業は何だったのだろうかという気分になっています。しかも、それだけわかりやすい参考書がたった1000円で買えてしまうのだから驚きです。

さて、大学受験を終えたら晴れて大学生になるわけですが、大学での勉強というのは受験勉強と比べてある側面で困難です。なんというか大学の勉強というのはぶっきらぼうなのです。受験勉強は、色々な参考書や塾での授業が私に手をさしのべてくれました。「こうやったらわかりやすい」「こういう解法もあるぞ」と色々ささやいてくれるのです。しかし大学の勉強はこちらに手をさしのべてくれません。ただそこにあるだけです。

たとえば手元に経済学の参考書がありまして、練習問題もページを見てみると10題ほどのっています。ここまでは普通です。 

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しかし、回答ページをみるととたんにぶっきらぼうです。手をさしのべる気は一切ありません。「こっちにきたかったら、頑張って来いよ」というささやきが聞こえてくるようです。

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学部時代、「経済学の青チャートがあれば・・・」と何度思ったかわかりません。パターンごとに指針を示して、大学受験にでる問題を網羅してくれる安心感。経済学の定期テストは、こういうぶっきらぼうな問題を一通り解けるようになってもダメです。同じ問題は出ないので、ひねった問題にも対応できないといけないんですがこれが解けるようになるには本当に多大な勉強が必要になるし、それをしたからといってテストで点がとれるかはわかりません。常に「この勉強でいいんだろうか・・・?」という不安と戦い、問題と戦い、やっと単位がとれるわけです。

これと比較したら大学受験というのは本当に本当に本当に親切です。東進は「はじめからていねいに」シリーズなどで初学者の気持ちをばっちりつかみ、Z会は英語で質の良い参考書をいくつも世に送り出し、河合塾は少し筋肉質な感じのやり応えがある参考書をつくり、駿台は玄人好みの雰囲気でやはりやり応えのある参考書をつくっています。

各予備校がしのぎを削って参考書競争をしているのです。その理由は一つ、参考書を売って知名度を上げて受講してほしいからです。昨年、代ゼミが校舎をたくさん閉めてしまいましたが、基本的に予備校というのは利益率が高く儲かります。どこの予備校も駅前の一等地に自社ビルをたくさん持っているのはそういうことです。

大学受験の参考書は一冊1000円から高くて2000円程度ですが、これだけ低価格で提供できるのはおそらく参考書はあまりもうけるつもりはなくて、広告宣伝の側面があるからでしょう。これと比較すると大学の教科書は一冊2000円から4000円くらいのものが多く、極めて分かりづらいものが多いのですが、参考書をつくっている教授というのは教科書の質がどうであれ自分の授業を履修した生徒に「これが指定教科書だ!」といえば全員買うことになるので、あまり競争原理は働きません。だから分かりづらいし高いのです。単位が欲しいから分かりづらくてもなんとか理解するし、単位が欲しいから高くても買うのです。

大学受験の参考書は市販のものが本当に素晴らしい。だからこそ、自分にあったものをよく考え選択する価値があり、それをすれば一気に志望校の合格に近づけるのです。人によっては塾予備校に通わずとも、参考書をうまくチョイスできればそれだけで大学受験は成功できます。

しかし前回の記事でも書いたとおり、高校生の多くはその労力をサボり、学校の選択したセンスのわるい参考書や教科書に人生を捧げています。意味が分かりません。

分からないのですが、そういう人がまだマジョリティだからこそ、運良く私のブログを読んだ人はそうならないよう、まずJR名古屋高島屋11Fの三省堂(この辺では一番大きい)の参考書コーナーにでも行って、どんな参考書があるのかパラパラページをめくって比べてみましょう。きっと、何が良いのか分からずに終わると思いますが、それはそれで良くて、もう一度家に帰ってインターネットで色々調べてからまた選びなおせばよいのです。

清須市の大学受験 相伝学舎
http://www.sodeng.jp