月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

作文より論理的文章を書こう

こんな作文が話題になっています。

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《第65回》文部科学大臣賞作品紹介(1) : 全国小・中学校作文コンクール : 読売新聞の取り組み : 読売教育ネットワーク


私たちが小学校、中学校で書かされる文章というのは作文というものであり大学で書くレポート、論文や仕事で書く書類とは異なるものです。

もちろんこの文章、「父が、逮捕された」 から始まるキャッチー(といっていいのか)でドラマチックな文章ではありますが、作文コンクールでこれが賞を取るというのはどうなのかな?と思います。

これが良いとなると小説のように心情を叙述することがうまい作文が良いということになりますが、①こういう能力の使い道が無いと言うことと、②訓練するのが難しいのです。

まず①使い道についてですが、私たちが文章を書くのは大学生ならレポート、就職したら社内外への説明資料です。どちらも、事実を分かりやすく伝えるものでありそこで使われるのは上手な修辞ではなく、論理的な文章です。「私はAだと思う。理由は3つある。これとこれとこれだ」という書き方って、高校生までに学ぶのが1%、大学生までに10%、社会人の最初の数年で40%、残り50%は学ぶことなく終わりみたいな印象がありますが、これって社会の生産性を下げますよね。

②訓練するのが難しいについて、作文や読書感想文って誰も何も教えないくせに賞を与えることで順番だけつけるというやっかいなものです。なんとなく書いて、なんとなく表彰されたりされなかったりという極めて非科学的な行為を繰り返しています。一方、論理的な文章というのはルールがあるのでその通りにかけば誰でも分かりやすい文章が書けます。

私はもっと、①'使い道があって②'訓練しやすい作文を勉強すべきだと考えます。それこそが論理的な文章であり、今私が書いた記事のように、主張+理由①+理由②+理由③....という形式の文章のことです。

大学でも就職後でも万能に使えるし、分かりやすい論理にはルールがあるので誰にでもかけるようになるし誰にでも指導ができる科学的な側面があります。

 

冒頭の文章であれば次のように書けます。

私にとって家族とは大切な存在であり、この家族に産まれたことを感謝している。

第一に、私が大変な思いのときに家族は私を心配し励ましてくれた。父が公職選挙法違反で逮捕されたが、その時は学校に行くのがいつもの100倍勇気がいることだった。しかしそのことを察した母は、「大丈夫。いつも通り、行けばいいよ」と励ましてくれた。祖父母も同様だ。

第二に、父が自分が大変なのに母と私を励ましてくれた。保釈された翌日父は私と母を抱きかかえて「本当によく頑張ったね。いろいろと迷惑をかけて、ごめんね」と言ったが、胸が一杯で照れくさくなった。

父も母も祖父母つまり家族は皆私を励ましてくれて、私にとって家族は大切な存在だと感じた。このような家族に産まれて感謝している。

 これだと1600文字あった元の文章が300文字にまとまりました。最終的にこの文章における主張は「家族大事」ということだから、友達がどうとか父の選挙がどうとかは主張とは関係がないことであり、省略しました。

 

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