ニュートンが色々な発見をしたのは、実は何十年かけてひとつひとつ・・・ではなくて、わずか数年の間にバババっと一気に、というものでした。
その数年というのが20代前半というのがすごいのですがそれは置いておいて、この時期ヨーロッパではペストが大流行していました。ペストというのはネズミを媒介にした感染病で当時ヨーロッパ全体の1/3とか1/4が亡くなったそうですから大変な時期だったわけです。
この時期ニュートンはケンブリッジで勉強する予定でしたがペスト対策として、ウールスソープという故郷に2年近く避難していました。そこでの2年間は「図書館も指導者も議論する学友も身近にいない状況」だったそうですが、実はこの2年間でニュートンはたくさんの発見をしました。
この時期に発見したもの、もしくは発見のアイディアとなったものは
二項定理、微積分、光のスペクトル分析、ケプラーの法則の証明、万有引力
という現代の高校数学&物理でも大部分のページ数を割かれているものです。また、「リンゴが落ちるのをみて重力をみつけた」のもこの2年間のことです。
この2年間というのは前述のとおり教えてくれる人も刺激を与えてくれる友人も周りに居ない状況で、おそらく書物は手元にあったでしょうけども、大部分は自分だけで思考をすすめていた、つまり現代風にいえば内職をバンバンしていわけです。
我々は現代において内職によってニュートンの教えを理解するのですが、400年前にニュートンは内職によってこの考えを導いていたのです。
学力というのは教わることによって得られるのではなく、自分で設問し自分で考えることによって得られるという教訓がおわかりいただけたでしょうか?
教わるというのはせいぜい1〜2時間程度の勉強ですが、自ら学ぶというのは机に向かう時間だけではありません。移動している時間、お風呂の時間、寝る前の時間などあらゆる時間に「あの問題はどう解くのだろう?」という疑問がふつふつとわいてくるのです。そしてふとした瞬間(ニュートンならリンゴが落ちた瞬間)に、「ああこういうことか!」と頭にびびっとくるわけです。
こういう主体的な学びに必要なのは、空白の時間であることは言うまでもありません。やらされることで時間がいっぱいになっていたら、考える隙間がなくなってしまうし、そもそも勉強で忙しいというのは世間的には良いこととされているので宿題で忙しい日々を送っていることに満足感を得てしまうことすらあるでしょう。
だから全国の受験生はどんどん内職しましょう。そしてその時間でやるべきことを自分で考えて主体性を獲得しましょう。先生に何を言われても、ニュートンになったつもりで無視しましょう。
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