月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

大学受験生の親ができること

大学受験生(高校1年〜高校3年)の親が、子の受験成功のためにできることをお伝えします。

 

1.邪魔しない

私が高校生を教えていて思うのは、大学受験で生徒の邪魔をするものランキングは親と学校が同着1位です。大学受験に関する話題は生徒本人が家庭で話出さない限り、親から話しかけるべきではありません。

まず、志望校合格のために「どれだけ」勉強をやらなければならないのかは生徒本人が一番良く分かっています。親が大人になってから「高校時代にもっと勉強すれば良かった」と後悔している?そんなものは親の問題であって生徒の問題ではありません。勉強しろと言われてやる気がなくなることはあっても、やる気がでることはありません。

次に、志望校合格のために「どんな」勉強をすべきかは親よりは生徒のほうがはるかに分かっています。学校の勉強がどうとか、塾の勉強がどうとか、予備校がどうとか、分かっていない人間に言われることほどの苦痛はありません。バッターボックスに入っているプロ野球選手が、観客からスイングについてアドバイスされて聞き入れるでしょうか?仮に親がよほどの難関大学を合格した経験があったとしても20年前の受験と今の受験は似て非なるものだということを認識すべきです。私は大学卒業後6年間民間企業で働いていましたが、受験から離れた6年の間で高校の教科書は内容が変わり、センター試験においては科目が変わっておりキャッチアップするのに数ヶ月時間がかかっています。たった6年間でさえです。ましてや親の出身大学よりも子の志望校のほうが高い場合は、どれだけ親が熱心に受験について調べたところで説得力がないでしょう。

 

もしどうしても勉強内容について口を出したい場合は、自分が勉強して子の志望校の過去問題を解いて合格点がとれるようになってからです。自分はたいして勉強が出来ない、する気もない、けど子供には自分の思い通りに勉強してほしい、そんなのはただのわがままです。「それでも子供の将来が心配」と言う人は、子供の将来を心配しているのではなく将来の自分の老後の面倒を見てくれることを心配しているのではありませんか。

会社で働いた経験がある人なら誰でも「学歴と仕事の成果は関係無い」ということは実感として理解しているはずです。もちろん官僚なら東大、トヨタなら東大か京大、県内の教員なら愛知教育大学、NECなら慶應、など学閥のある会社や組織は存在しますが、そんなところは少数派であって大多数は仕事の出来や社内政治によって評価が決まるのです。そういうことを理解していながら、子供に学歴を求めるというのは本人の人生を思っているのではなく、自分の老後や近所づきあいにおける自分の鼻の高さを気にしているのです。

2-3回、子に「勉強しろ」といって聞かないようなら4回言っても無意味どころかやる気を失わせている可能性が高いです。言って勉強しないようなら言わなくても勉強しないので気にする必要はありません。

 

2.空気を作る

親がすべきことは家庭での空気づくりです。場合分けして説明します。

(1)子があまり勉強しない場合。前述のとおり「やれ」といっても効果は無いか逆効果しか期待出来ないので、「やれ」とは言わずに空気で伝えてください。日本人が残業をするのは上司より先に帰りづらいという空気を読んでしまうからです。自分の周囲の人間と反対のことはやりづらいのです。であれば親が勉強をする、もしくはそれに準ずる行動をして示す、北風と太陽でいえば太陽の作戦が考えられます。子というのは良くも悪くも親に影響を受けて大人になっていきます。親が何かの目標にたいして努力をしているのであれば、「そうするべきものなのだ」と思う心が少なからず生まれるはずです。

(2)子が勉強している場合。この場合は、家庭が良い休息の場になるように空気を作ってください。受験生は外に遊びにいってリフレッシュすることがあまり出来ません。楽しみといえば食事、風呂、睡眠、など家庭内で出来るものに限られてきます。であれば食事を作る、間食や夜食を作る、家を綺麗にする、リラックスできるものをそろえる、などよく休息できるような家庭環境を整えてほしいと思います。親が「勉強しろ」と口先で応援するのではなく、態度で示してくれることで「協力してくれているのだから頑張ろう」という気持ちになるのです。

 

まとめ

学力とは本人の努力の結果ですが、受験の成否はプラスもマイナスも家庭の影響が十分にあります。残念なことに子の勉強内容に悩む親ほど、邪魔をしている可能性が高いです。応援しようという気持ちであれば、どうしたら勉強しやすい環境になるかという方向の悩みになるはずです。

勉強については親は「(模試結果を)見ざる、(勉強の様子を)聞かざる、(勉強をやれと)言わざる」の態度を基本に、勉強しやすい空気をつくって応援する、愛でつつむ作戦で考えて欲しいです。

 

清須市の大学受験 相伝学舎
http://www.sodeng.jp