月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

英文解釈を勉強していますか?

英語の授業では英文解釈を教えているのですが、我ながらナイス解説だなと思ったものがあります。

 

...we are concerned about efficiency or the ratio of benefits to costs.

 

等位接続詞にはand,or,butの3種類がありこの英文ではorが使われています。

等位接続詞は前後で文法的に価値の等しいものをつなぐというというのが一般的な説明ですが、以下の訳は正しいでしょうか?

「私たちは効率性やコストに対する利益の割合を心配する」

これは誤りです。これだとorのつないでいるものがefficiencyとthe ratio of benefits to costsになります。

 

...we are concerned about efficiency or the ratio of benefits to costs.

 

efficiencyは名詞、the ratio of benefits to costsもまとまりで見れば名詞ですから文法的には問題ないのですが、ダメです。

その理由は・・・

語数がアンバランス!

efficiencyが名詞1語なのにたいして、the ratio...は名詞+形容詞+形容詞でまとまりが3つで1:3くらいの感覚です。efficiencyとthe ratioの名詞をつないでいると解釈するのが正解です。数学や理科のような自然科学とは違う、英語という語学にたいして語数という数字感覚が必要なのかと思う人もいるかもしれませんが必要です。英語とはそういう言語なのです。等位接続詞を使うときの語数は多くの場合で釣り合いがとれています。感覚的には7-8割くらいはバランスがとれていて、たまにアンバランスなものが混じっています。なので意味を考えるときにはまず釣り合いを考えて、意味が不自然なら釣り合いの制限を外すというのが合理的です。

 

...we are concerned about efficiency or the ratio of benefits to costs.

 

さらに、このバランス感覚を理解したうえで頭のなかで括弧をとじて前後のつながりを解釈します。

 

...we are concerned about ( efficiency or the ratio ) of benefits to costs.

 

こうすると「私たちはコストに対する利益の(効率性や割合)について心配する」

efficiencyもthe ratioも前置詞aboutの目的語であり、of benefits to costsという形容詞句で修飾されています。数学で a(b+c)d=abd+acdであるのと同じように、分配法則が働きます。

さらにいえば、orにたいして「〜や〜、〜もしくは〜」としか意味を考えられないようではダメです。ここでは効率性≒割合ですから、orは「言い換えのor」で正しい訳は

「私たちはコストに対する利益の効率性、つまり割合について心配する」

です。

最初の訳と比べてください。

「私たちは効率性やコストに対する利益の割合を心配する」

等位接続詞orの解釈一つだけで、こんなに意味が変わってしまいます。この英文で使われている単語や表現、

be concerned about, efficiency, the ratio, benefits, costs

これらに難しさは一切ありません。そして、等位接続詞orも辞書的な意味でいえば「〜や〜、〜つまり〜」だけで中学生でもわかります。しかし、これらを組み立てて正確に理解できる人は少ないのです。そういう勉強をしなければいけません。

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