月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

指定校推薦狙いの人は注意!必要な評定の目安

先日、高校の評定は大学入試に関係ないと書きましたがそれは「一般入試」での話です。大学入試には、一般入試の他にも指定校推薦、AO、自己推薦など色々な方式があります。大学入試といえば「一般入試」ですが、その次に有名なのは指定校推薦での入試です。

今までこのblogでは指定校推薦の話はほとんどしていませんでした。私の塾が一般入試を目的とした塾であるということと、近辺の高校では指定校推薦の制度を利用させない文化があり、そもそも知られていないし無関係だからです。

指定校推薦の仕組み

指定校推薦というのは、一般入試とは全く逆で、高校の評定平均勝負です。ざっくり言うと高校が「この生徒は優秀ですよ」というお墨付きをあたえて、ほぼ確実に大学に合格できる制度です。

各高校に、「早稲田大学1名、慶應大学1名、東京理科大学10名、明治大学10名、南山大学20名」などの推薦枠(もちろん実際には学部単位での推薦です)が割り当てられていて、学年の評定平均が高い順からいきたい大学を選んで、推薦を勝ち取ります。指定校推薦は私立大学の制度であり、国公立大学では存在しません。

だいたい秋頃(11月中旬〜12月上旬)に入試が終わって1〜2週間以内に合否がわかる、というか基本的には推薦をゲットできた時点でほぼ合格が決まります。

指定校推薦の特徴

この指定校推薦というのは、一般入試の難しい問題を解くのは無理だが、毎回の定期テストならなんとかなるという生徒向けの救済制度のようなものです。長期的に学力をつけるのはダメでも、短期勝負ならなんとかなるという生徒は、一般入試よりむしろ指定校推薦を狙うほうが良いです。

「えっ、指定校推薦のほうがラクそうじゃね?」と思ったあなた。一般入試の耐えがたい緊張をすることもなく、高校のテストを乗り切るだけで結果が出てしまいますから、とってもラクそうに見えますね。

しかし、そんなラクな入試をせずになぜみんな一般入試にチャレンジするのか。それは、指定校推薦で自分が行きたい大学に合格するのが極めて困難だからです。

指定校推薦で希望の大学に行けるのか?

私大を志望している人は早慶、マーチ、関関同立あたりを狙っている人が多いと思います。ではみなさんの高校に、これらの高校の推薦枠がそもそもあるでしょうか?

早稲田や慶應の指定校推薦枠はあっても1人〜2人という高校が多いです。毎年、20人とか30人単位で一般入試で早慶に合格できるようなランクの高校だったらもう少し多いですが、一般入試でせいぜい年に1-4人くらいしか受からないところだと枠がそもそもないケースもあります。

仮にあったとしても、高校の評定が学年で1位とか2位じゃないと推薦を勝ち取れないので、割に合いません。必要な評定の目安は高校のレベルによって変わります。条件としては、某高校の早稲田大推薦枠では「評定全体で4.5以上、欠席40日以内」とか「評定全体で4.5以上、かつ英数各4.5以上、欠席40日以内」など全体の評定以外にもいくつか条件がある場合もあります。では一般入試のように最低条件である4.5ぴったりとればいいのかというとそうではありません。後述するように、1人の枠に2人以上が志望した場合には、もっとも評定の高い人が推薦をゲットします。早稲田や慶應クラスの指定校推薦を狙うなら、4.8とか4.9などかなり高い評定が必要になることが多いです。正直いって、指定校推薦で早慶などの難関大の合格を勝ち取れてしまう人は、そのまま一般入試で挑戦しても合格できてしまう可能性があるくらい優秀です。

もし自分の行きたい大学・学部の指定校推薦枠があったとします。仮に、早稲田大学商学部としましょう。普通、推薦枠というのは学校につき1人、多くて2人です。ですので、もしあなた以外に早稲田大学商学部の推薦枠を希望する人がいたら、どちらかは枠をゲットできてどちらかはできません。いわゆる、校内選考です。勝敗の基準はもちろん評定です。一般入試の合格がとても難しい早稲田の推薦なんて欲しい人はいくらでもいます。同じ学年であなたが定期考査で毎回1桁をキープできているのであれば、勝ち取る可能性がありますが、そうでなければ自分が枠をゲットできそうなレベルの推薦枠を志望していくことになります。

 

自分の高校にどのような指定校推薦があるのか?

指定校推薦枠というのは、毎年コロコロかわるものではありません。なので高1や高2の生徒は高3の部活の先輩にでも聞けば教えてもらえばOKです。あるいは進路室に聞きにいってもいいでしょう。

指定校推薦のリスク

自分が行きたい大学学部の指定校推薦を志望してめでたく推薦をゲットできればいいのですが、出来なかった場合はその時点で枠が余っている大学の推薦を再度志望するか、一般入試を受けることになります。指定校推薦の志望は原則的に1人1回です。そして複数人希望が居た場合の校内選考基準は評定です。なので、志望を出す前には誰がどの大学を志望するのか駆け引きが始まります。

「定期考査だけ頑張ってればいい」と思われがちな指定校推薦ですが、結構大変だということが分かっていただけましたでしょうか。

 

結局、指定校推薦というのはなんとなく高校の勉強をして、なんとなく大学に合格したいという場合以外には、おすすめできません。仮に、自分が行きたい大学の推薦枠が1人しかなかったとして、2着だったらもうダメなわけです。そのときに自分が選べる(枠が余っている)大学は、たいして興味や魅力のない大学である可能性が高く、妥協できますか?という話になります。

清須市の大学受験 相伝学舎
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