月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

五条高校の生徒が3年間しっかり勉強して国立大学医学部に現役合格した話 11

さて、成績開示は5月の話なので前期入試が終わったこのタイミングではまだ合否は分かっていません。受かったかもしれないし、受かっていないかもしれない、五分五分の状況という認識でした。後期の浜松医科大の入試まで残り2週間、まだKさんの大学受験は終わりません。

浜医の後期試験は小論文と面接が課されます。センターが950点にたいし、小論が100、面接が250で合計が1300点満点の入試です。この時まで小論文の指導は1分もしていません。本当は、大学入試の小論文を2週間で仕上げようなんて指導者として見通しが甘すぎと突っ込まれても私はごめんなさいその通りですとしか言えないのですが(このことは二週間で小論文がかけるか? - 月刊木村:清須市で営む塾での日々で書いてます)、前期試験に集中してもらうためにはやむなしだと思います。

ただ、勝算がないわけではありません。

医学部の後期日程は10倍前後になることも多いので対策をたいしてせずに最初から投げやりな感じで「運まかせ」にしてしまって、小論文の過去問題を何度か書いて終わりにしてしまう生徒も多いだろうと容易に想像つくからです。

小論文の勉強を開始した初日にKさんが帰りがけ「小論文、なめてました」と言っていましたが、実際に、他の多くの受験生はなめていたと認識する前に、ちゃんと向き合わずに終わっていたんじゃないかと思います。この年の浜医の後期の倍率は受験者61人にたいして合格者10名の6倍だったわけですが、十分に対策してきたのは多くても30人程度でしょう。

小論文の対策として、まずは参考書を1冊、2日間かけて読破してもらってから処女作を書いてもらいました。背景知識を詰め込んでから、アウトプットです。その後は毎日昼と夜に1本ずつ、1日2本の小論文を書いてもらって、それを私が添削して返却して、夜に私の高1・高2の授業が終了したら小論文の内容についてディスカッション、ということを繰り返しました。

1日2本の添削&夜にディスカッションという内容は、至れり尽くせりの最高級フルオプションコースなのですがこれに対しては月謝以上のことは頂いていません。というか、私の塾では高3の授業が1月で終わってしまうので2月以降、受験終了までは無償です。小論文以外にも、英作文の添削を2月は毎日やっていましたが(けっこうエネルギーを要する)、原動力は愛以外にありません。塾を開いた2015年の4月に来てくれた生徒というのは思い入れが一段と強いし、Kさんのようにアドバイスを率直に聞いてくれる生徒はなおさらです。何の実績もない私のことを信じてくれたのだから、出来ることはなんでもやってあげたいという、一点で動いています。

あ、でも愛以外にもありました。受かったら塾に箔が付くという極めて下品な打算でございます。私の投資した労働は100倍くらいのリターンで回収しました。

 

毎日の小論文添削のほか、模擬面接で面接の準備も十分にしました。高校生、あるいは高校の先生がたにとって、英語や数学、小論文などのペーパーテストの対策はイメージ出来ても、面接の対策といわれて過去の質問を調べて返事を準備していくこと以上のイメージはなかなか出来ないと思います。

面接で大学は何を見たいのか?どういう学生が欲しいのか?そういうことを考えて、対策をしていきました。それは大学の欲しい人物像に合わせて仮の自分を作っていくということではなくて、面接までに考えるべきことを考え、大学と真面目に向き合うということを意味します。

 

後期試験までの高校3年間、客観的にみてKさんはやるべきことをすべてやりました。学校の与える「みんな」向けの勉強ではなく、自分にとって必要なことです。

運任せの受験勉強になっている人は是非参考にしてください。