月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

大学受験、直訳か意訳か 3

なんとなく読みと、精読の境目を紹介しましょう。

 

Air pollutants can be divided into several types.

1. 空気中の汚染物質はいくつかのタイプに分けることができる。

2. 空気汚染物質はいくつかのタイプに分けられることができる。

一見、日本語として不自然な2が精読で1がなんとなく読みです。1はbe dividedという受動態を無視しています。英文を能動態に書き換えれば、

(We) can divide air pollutants into several types.

となるので1の訳でも意味としては間違いありませんが、「受動態で意味がわかりにくければ能動態にして訳す」というのはハイレベルな話なので、高1でこれをやっていたらなんとなく読みと判断しバツ。

こまけえよ、と思われるかもしれませんが、この中学レベルの基本的な英文法へのこだわりが、大学受験でも難解な英文の精読の成否に影響してくるのです。a bored man(退屈している男)とa boring man(つまらない男)の違いが 現在分詞は能動態、過去分詞は受動態で名詞と関係する点から生じることなども、英文法自体は中学レベルであっても、解釈上の影響力が大きいので授業中に何度も強調することになります。

 

By the age of three a boy is beginning to realize...

1. 三人の男の子の年齢によってわかり始める。

→SVが崩壊しています。three a boyをひとかたまりとみていること、Sが無いことに疑問を持たないことが原因です。

2. 三歳頃の男の子は、...気づき始めている。

→こちらは前置詞Byの無視、the / age / of / three / a boyのなんとなく読みです。

3. 三歳までに、男の子は...気づき始める。

→これが精読。

By the age of three, a boy is beginning to realize...

なら分かりやすいのですが、常にコンマで修飾語の切れ目が明示されているわけではありません。

 

次はある和訳問題にたいする答案です。

1. しかし、脳は古い習慣を変え、そしてとても難しい新しい習慣を作っているとき、変化に抵抗する。

2. ところが脳は、変化や古い習慣を変えることや新しい習慣を極端に難しいものにすることを拒む。

3. しかし、脳は変化に抵抗し、古い習慣を変えることや新しい習慣を作ることをとても困難にする。

使われている単語は同じでも意味がバラバラ。これらは高3の答案ですが、さすがに高3ともなると単語の足し算をして間違うというよりは、文法を英文解釈に応用するときに、判断を誤るという感じです。その判断の誤りを出来るだけ少なくするように和訳添削を通じて教えていきます。 

清須市の大学受験 相伝学舎
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