月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

大阪大学の件に思う

大阪大学の入試問題で不備があって、昨年3月に合格するはずだった30人を今年の1月に追加合格させたという問題がありました。結構、話題になったなという印象を持ちました。

でも色々調べてみると、過去にも大学入試で不備があって本来合格するはずだった生徒が不合格だったという件は多いのです。

東北大学大学院の「 大学入学者選抜における『入試ミス『の分類指標作成の試み」という論文によると、1990年から2007年までの17年間で合否判定ミスは118件あるといいます。1年間で7件程度は、合否判定ミスが発生していてもおかしくないということになります。

最近でも高知大学や、

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身近なところだと中京大学でも、

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合否判定ミスが生じています。

しかし、今回の大阪大学のニュースは特に大げさだったように思います。追加合格者30人という人数もそうですが、大阪大学といえば学部にもよりますが東大・京大の次に難しい大学ですから、「合格していたら人生がだいぶ違ったはず」という認識が多くの人にあったことが寄与していることは推して知るべしでしょう。

日本では卒業した大学名の持つ意味が大きく、多くの人が学歴競争のゴールを大学入学と考えています。一般入試で合格する条件は唯一「合格最低点を上回ること」であって、家柄や出身地、高校の成績さえもみられることはありません。入学してしまえば卒業するのに必要なエネルギーは大学受験の比にはならないほど小さい。そして、難関大学卒業というカードはいまの新卒採用システムにおいてはジョーカーみたいなものです。高校生が想像出来るよりずっと、難関大学合格には大きな意味があるし、可能性をもたらしてくれます。

高校卒業の時点で、どういう仕事につきたいかを明確にもっている人は少ないし、持つ必要もありません。しかし、数年後に自分がやりたいことが明確になったときに、それに挑戦できる場所にいるかどうか、というのは超重要です。

大学入試をパスするにあたっては、高校名なんて1mmも関係ありません。なんなら高卒認定だっていいのです。しかし、大学から先は、学歴という看板が持つ意味が大きい。とくに新卒一発目から20代まではそうです。

極端な話ですが、国家公務員の「キャリア」(一種というやつです)になりたければ東大じゃない時点で無理ゲーです。東大に行けなければ「事件は会議室で起こっているんじゃないっ!」と言う側にしかなれない。大学生になって「室井さんになりたい」と思っても、その時東京大学2年生じゃなかったらその時点でほぼ夢は閉ざさます。逆に、東大2年生だったら、国家公務員一種の試験対策を開始できるでしょう。

いつか自分のやりたいことが明確になったその時に「もっと真面目に大学受験やっておけばよかった」と思うのか「真面目に大学受験をやっておいてよかった」と思うのか。どちらをとりますか?


清須市の大学受験 相伝学舎
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