月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

アイドル受験戦記(管なな子)から名古屋大学経済学部に受かる方法を研究する

 

アイドル受験戦記 SKE48をやめた私が数学0点から偏差値69の国立大学に入るまで

アイドル受験戦記 SKE48をやめた私が数学0点から偏差値69の国立大学に入るまで

 

 

こんな本を読みました。

ざっくりまとめると、

 

大企業技術者管理職の娘のオール4くらいの中学生がSKE48に入って、

最初はそこそこ順調にいってたものの限界を感じてSKE48を高2の冬に辞めて

そこから東進でゼロから勉強して

1年後に名古屋大学経済学部合格

 

ありえん・・・すごすぎます。

ビリギャルとか私の個人的体験からいっても1年ちょっとで早慶など最難関私大はまあよくある話です。3科目だけですから。

一方、ビリから1年で難関国立というのはなかなか聞かない話です。あるとしてもビリの基準が偏差値40とかいいながら実はそれは東大模試の偏差値40とか、ウラがある逆転劇だと思って間違いないです。

でもこの管なな子さんというのは、おそらく偽りなくド底辺から1年で名大経済に受かってます。たしかに名大の経済学部は英数国比率が高いので私大受験っぽく受験可能です。センター+2次で2400点満点中、英数国は2100点です。英数国のいずれか2つくらいが飛び抜けて出来る場合には、理科や社会の出来がわるくても最低点にのせる計画は立てられます。

でもその飛び抜けるというのは名大受験者のなかで飛び抜けるということであって、名大受験者といえばこの辺でいうところの一宮高校の上位1/3くらい、つまり、1学年200人の中学校では毎回1位とか2位でうろうろしているレベルの生徒が3年間コツコツ勉強したレベルであって、高2の冬からなんとかなるレベルではありません。

が、よく本を読んでみると合格できた理由が色々わかります。

 

受験勉強の始め方について

父のすすめで東進をメインにして受験をすすめることにしています。東進といえば、こういう「全然勉強できないけど目標だけはいっちょまえですべろべろば〜」という生徒にたいして、ありえない量の講座を進めてネギをしょったカモのケツの毛まで一本残らずむしりとるイメージですが、最初は3科目に絞ってやってみるよう提案されたみたいです。かなり良心的です。

12月 英語スタート

2月 国語と数学スタート

という順番で開始したと書いてあります。

SKE48を卒業した高二の十二月から、私は自宅と高校の間にある、東進衛星予備校に通い始めた。

・・・受験のプロの井上先生は、私大にも変更可能な道を残すための講座を提案してきた。それは、まずは英数国を固めようという方針だった。

・・・まずは受験で最重要科目になり、覚えることが奥手時間がかかる英語から始めた。

 二月に入ると、国語と数学の講座もスタートさせた。 

 

私なら最初は数学をやらせますが、最初の2ヶ月を1科目に絞ったというのはすごく良いです。

というのもこのレベルの生徒は勉強にたいするプラスのイメージを持てるかどうかがポイントで、まず何の科目でも「やればできるじゃん!」という成功体験をさせられるかというのが教える側にとっての一番の腕の見せ所なのです。

短期的に成功体験をさせるには、2ヶ月間、1科目だけ、というのはとても合理的です。

 

受験勉強開始後4ヶ月のセリフ
この頃の私は知らないことがどんどん頭に入ってくるのが実感できて、勉強が楽しかった。勉強したら、その分だけ成績が伸びた。これは私にとって、すごくシンプルで、とても充実感が得られる努力だった。

アイドルは顔が可愛ければ売れるわけでもないし、歌やダンスがうまければ売れるというわけでもない。「キャラがいい」という目に見えない曖昧なものだったり、売り出すタイミングだったり、自分ではどこに向かって努力をすべきなのか、はっきりわからないまま、もがく世界なのだ。そこが楽しいところでもあるけれど、でもやっぱりその難しさに苦しんだときもあった。

それに比べると、受験は結果を出すための方法が「学力を上げること」とはっきりしている。ただ勉強していればいい。

 

どうですか受験生のみなさん?共感できます?

 

徹底的に合理的

先日、

sodeng.hateblo.jp

にも書きましたが、「志望校に合格するためには試験を受けて合格最低点をとればよい。そのために必要なことだけをあなたはできますか?」というのが大学受験の一般入試です。

では本文から。

夏休みに東進の校舎が開くのは、通常より一時間早い九時からだ。・・・

当然、高校がないのだから予備校には私服で通う。制服と違って、私服は自分で選んで着るものだ。私は毎朝、洋服を選ぶ時間さえ、もったいないと思った。 

 

その後、イオンで母にトレーナーを二枚買ってきてもらって、交互にきたそうです。私はユニクロの黒いTシャツ10枚を着続けて気が狂いそうになりましたが、二枚交互ならリフレッシュになっていいんじゃないでしょうか(←違う)

私が愛用したのは、予備校から一番近い松屋だった。理由は単純で、頼んだものが出てくるのが一番早かったからだ。・・・

一度ファミレスにも行ったが、松屋の後だと、出てくるのがとんでもなく遅く感じられて、「もう絶対来ない!」と決めた。

・・・背中まであった髪を切ることにしたのだ。シャンプーの後に髪を乾かす時間がもったいない。机に向かっているときに、結んだ髪の重さで肩がこるのもイヤだった。

・・・ケータイをスマホからガラケーに機種変更したのだ。ケータイを一番愛用する世代の女子高生の私がなぜケータイを退化させたのか。それはLINE対策だった。

 

ここまで合理的になれます?そりゃ受かりますわ。正直いって、その辺のいい子チャンの公立高校生には絶対にまねできません。

そして、私が好きなエピソード

ちょっとした息抜きの計画もあった。SKE48で一緒だった友達や、スタッフさんたちと十人くらいでバーベキューをすることになっていたのだ。私も直前の模試で全教科で六割以上をとれたら、息抜きに参加しようと思っていた。だが、あえなく目標には届かなかった。やっぱりもっと勉強するしかない。私はバーベキューを諦めて予備校に通うことにした。

これってなんか既視感のある話なんですよね〜

本番前の一月十五日は成人の日。オレにとっては忘れられない日だ。この日は、中学や高校でいちばん仲のよかったヤツらと、ハデに成人式のパーティをやろうということになっていた。パーティ会場は横須賀のホテルで、もうずっと前から予約している。オレはこの日のために20万円のスーツを新調しておいた。

前日の十四日になって、オレは激しく揺れ動いた。一日くらい勉強を忘れてハデに遊んでもいいじゃないか。この日のためにスーツも新調したし、仲間もオレに会えるのを楽しみにしている。オレはここまでよくやったんだ。古文も現代文も、たいていの問題はスラスラ解ける。1日くらい遊んでも受かるんじゃないか・・・オレは必死に自分に言い聞かせていた。

その一方で、こんな気持ちがオレを責めたてた。オレは誘惑に弱い。そんなに強い人間じゃない。ここで一日遊んでしまったら、張り詰めていた糸がプツンと切れてしまうのではないか。ここまでやってきたことに満足してしまうのではないか。もし落ちたら、一月十五日に遊んだことを、オレはいいわけにしてしまうのではないか。「やることをやった」と胸を張って、試験会場に入れるか。たった二十四時間だが、二十時間あれば、古文の問題集を二冊はできる、日本史の教科書一冊分の復習もできる・・・。

「かーっ」と熱くなってきた。オレは、目の前にある二十万円のスーツをビリビリに引き裂いて、燃やしていた。こんなものがあるから、くだらないことで悩むんだ。

 これ、古文で有名な𠮷野敬介先生のこれまた有名な本の一節です。

 

だからおまえは落ちるんだ、やれ! 決定版 (Challenge&Success)

だからおまえは落ちるんだ、やれ! 決定版 (Challenge&Success)

 

 この本を私は受験生時代に何回読んだか・・・

もう一つ、こちらは管なな子本から

夏休み後半になって、初めて受験勉強に対する「疲れ」を感じるようになった。母も、その頃私がいつも下を向いて歩いていたので心配した、と今になって言う。それでも予備校で眠気を覚えたら、母のコーヒーを飲み、頬を思い切りつねった。昼寝をしてしまって、十二時就寝、朝六時起床のリズムを崩したくなかった。

で、こちらは𠮷野敬介本から

平均して、一日二十時間勉強をした。一日二十時間勉強をすると決めたわけではない。やることをやっていると、結果的に寝る時間がなくなる。そんな感じだ。

・・・眠い。これは当たり前。体がおかしくなる。そんなの知ったことじゃない。とにかくオレはやるしかなかった。そうしなければ受からないからだ。気がついたら二晩徹夜したことも何度もある。70時間ぶっ続けて勉強したことになる。

眠いときは、ユンケルを飲む。それでも眠いときは、インスタント・コーヒーをカップにたっぷりブチ込んで、そこにユンケルを混ぜてかき回し、一気に飲む。それでもダメなときは、手の甲に針を刺して、睡魔と戦った。

 まだ𠮷野先生はご健在ですけど、管なな子さんというのは吉野先生の生まれ変わりなのでは?

 

私は学校の授業は全て内職して定期考査は赤点ギリギリ狙いでOK派の人間ですが、管先生はどうでしょうか。

一年生、二年生のときは芸能活動のために、授業も休みがちで勉強できず、赤点を取るか取らないかでヒーヒー言ってた定期テストだが、受験勉強を始めると、定期テスト用の勉強を特別しなくても、点数を取れるようになった。特に英語は実力がついてきたことがモノを言った。

英語はまじで定期対策意味ないですからね。ちゃんと英語の読解力がついていれば、たとえ教科書の本文が初見だとしても普通に点がとれるようになります。

私の原則は、受験にも役立つようなものであれば定期テスト対策用の勉強もするが、そのテストのためだけの勉強、例えば暗記作業は全くやらなかった。私は、受験生にとって勉強する目的は、学校でいい成績を取るためではなくて、大学に合格するためだと割り切っていた。時間は限られているのだから、合理性を追求する必要があるのだ。

 

逆転系の本はたいていこういうことが書いてあります。あとはやるかやらないかです。というか、気づくか気づかないかですね。受験の成功方法なんて、もう何十年もかわらないんです。公立高校生はアホすぎます。みんなのんびりやり過ぎなんですよ。みなさんがタラタラと勉強している3年なんて、ガチでやった人の1年ちょいだということですよ。のんきに学校の宿題やってるヒマありますか?補習を受けてるヒマありますか?

 

センター試験の結果は得点率75%

センター試験の結果は本の数字をまとめるとこんな感じです。

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暗記系はうまくいって、数学が死亡という結果でした。数学IIBが33というのは、青チャートレベルの問題を理解しきれなかったのと、それが原因で全く同じ問題は解けるが少し出題形式がひねられた場合に対応する力がつけられなかったということでしょう。この辺は生徒の理解度をテストの○×でしか確認できない映像授業の限界です。

一方で、暗記系科目(英語、古典、理科、地歴公民)が短期間でこれだけうまくいったのは逆に映像授業の利点だとも言えます。現代文も東進を利用していたとありますが、おそらく中学生までに日本語読解の学力がしっかり出来上がっていたのだと思います。

こういう短期決戦の逆転ストーリーに欠かせないのは、「実は受験勉強始まる前から○○の実力はあった」系の特技で、当塾でも何人か短期間で思いっきり学力を伸ばした生徒が過去何名かいますが、実はもともと英語が得意で数学だけダメだったとか、現代文はとくに何も勉強しないでもそれなりにできるとか、そういう強みがあって、それ以外にうまくいっていなかった部分をコチョコチョやって伸ばしたというのが実際のところです。

さて得点率75%となるとおそらく名大はE判定で、この得点率ならビビって名市経済あたりに落とす生徒が多いと思います。が、管先生はそのまま名大経済出願しました。ナイスチャレンジだと思います。

 

その時の合格最低点の計画は、

目標としては、余裕をもって英語と国語が7割で、数学が6割というところだった。

これをまとめると、こんな感じです。

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二次合計で1000点で、センターの678点と合わせるとかなり余裕をもって合格できます(この年の最低点は1442点でした)。

でも、センターの数IIBで33点の人が残り1ヶ月でどれだけ頑張っても、名大の二次の数学はほとんど得点出来ません。この数学の300点というのは無理があるというか、そもそも無理です。

 

実際二次を受験してみてどうだったかを予想すると、おそらく数学は500点中、50点くらい。

一方で、英国は結構手応えがあったようで、

大問一がこの年は簡単だった。・・・いける、いける。このときの快調さといったら。この時点で私は受かるという気分になった。

国語は難しいなと感じるような問題はなくて、いつもの過去問のように解けた。時間も少し余って見直しもできるくらいだった。うまくいったと感じた英語よりも、さらに手ごたえがあった。

 ということです。

私の予想では、英国が7割で数学が50点。

 

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これだとセンターの678点とあわせて1428点で、この年の最低点の1442に微妙に届いてないですがまあだいたいこんな感じで受かったんでしょう。

平成27年度 合格最高・最低点及び合格者の平均点一覧 | 入試データ | 入学案内

 

一番のポイントは家庭環境が良かった

逆転を夢見て頑張っている高校生諸君、あるいはその保護者のみなさまにたいして、これを言ってしまってはちゃぶ台をひっくり返すことになるかもしれませんが、ここまでの急成長を成し遂げられたのは家庭環境が良かったというのが一番のポイントだったと思います。

まず父について

私の家は自動車メーカーに勤める父と専業主婦の母、・・・

管理職になった父はマネジメントに関する本を会社からもらってくることも多くて・・・

数学では家族にも助けてもらった。・・・父は仕事から帰ってきた後や、朝寝ているところを起こしても、嫌な顔をしないで教えてくれた。・・・父は、公式や定理の名前がわからなくても、解き方は覚えている。

 

ということで、愛知県の自動車メーカーといえばトヨタで、技術職で管理職になったということなので課長に昇進したところ?トヨタで課長といったらもはや神の一歩手前ですよね。

でまあ役職とか所属はどうでもいいんですが、ところどころ挿入されるエピソードから管先生がお父さんを尊敬している様子がうかがえます。

その頃、父と進路について話すことがあった。それまでも父は夕飯を一緒に食べるときなどに、仕事の話をしてくれることがよくあった。管理職になった父はマネジメントに関する本を会社からもらってくることも多くて、私も父の書棚から面白そうな本を借りて読むことがあった。

・・・父から聞く仕事の話は、興味をそそられることも多くて、私は会社で働くということに魅力を感じていた。

それと、勝手に本を読むというのが象徴的で、知的欲求が高くて社会人が読むような分厚い本を読むことに躊躇がない、つまり日頃から読書習慣があります。それが日常だという家庭環境は文化水準が高い。そういう環境で17年育っていることのもつ意味は大きいです。そろそろ6000文字を超えてたぶん読んでいる人がいないと思うのでぶっちゃけトークをしますと、学力というのは大部分家庭環境に影響を受けます。土壌がしっかりしてないと塾ではもはやどうしようm(略

本を読んでもらうとわかるのですがこのお父さんが娘につかず離れず、終始絶妙にいいポジションにいます。私だったら父には完全に無関与でいてほしいですが、娘-父の関係では一定の距離感が良いのかもしれません。

あとこのお父さんは可愛い。

父はSKE48の活動をすごく応援してくれていた。私のブログを毎日全部チェックしていたし、コンサートに来て、うちわなど私のグッズを親戚に配る分も含めて何個も買ってくれた。東京に出張に行ったときにはアイドルショップにも行ったそうだ。

 

次に、専業主婦のお母さんについて。

母は受験生の私を後方支援してくれた。模試を受けるときは全て本番モードで受けろと井上先生(※木村注 東進の先生)は言った。それは昼食のお弁当もそうだった。私はトイレがすごく近い体質だったので、母は模試のたびに、水分量が少ない弁当を用意してくれた。何度も作ってくれるうちに、受験用弁当が出来上がっていた。

母からお昼代をもらって、予備校の近くで食べることにした。母にはそのレシートを渡して毎日精算する。母はそのレシートを見て、娘がちゃんと食べているかを把握したいのだった。

 これだけ愛されていたら受験勉強に120%集中できるのもうなずけます。

 

逆転系の話は、だいたいどれも似たような話になりますのでこの本に目新しいことがあるかというとありません。しかし、受験生にとっては励まされるところが多々あると思いますし、保護者のかたにとってはちょうどいい距離感の参考になると思います。

是非買って通しで読んでみてください。

そしてやる気になった生徒は東進にいってください。よほど私に興味がある人は、当塾に来て下さい。清須でも桜山でもウェルカムです。

 

アイドル受験戦記 SKE48をやめた私が数学0点から偏差値69の国立大学に入るまで

アイドル受験戦記 SKE48をやめた私が数学0点から偏差値69の国立大学に入るまで

 

 


大学受験 相伝学舎 (清須校舎、桜山校舎)
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