会社員として働いたときに実感したのは「やったほうがいい」ことでもやらない勇気を持つことです。セールスの仕事は「やったほうがいい」ことであふれています。担当を100社持っていたら100社を回ることはもちろんやったほうがいい。新しい製品ばかり売るのではなく、昔からある製品にも力を入れることは、もちろんやったほうがいい。
勉強も同じで、手元にある文法の参考書をやったほうがいいし、学校の授業もどうせなら聞いておいたほうがいい。「やらないほうがいい」ものは同じように少ないのです。
しかし、仕事でも勉強でも上手くいくひとは「やったほうがいい」ことのなかで最もインパクトのあるものは何かを考えてそれだけをやる勇気がある人のように感じます。「やったほうがいい」ことをバッサリ捨ててしまう勇気を持っている人です。
愛知県(だけではないですが)の中学生はみな、9科目全てにおいて5を取ることを目指して3年間を過ごします。万遍なくすべて出来る、を目標に頑張るわけです。
しかし大学受験となるとルールが変わってきます。私立専願であれ国立狙いであれ、文系では英国社、理系なら英数理の3科目だけをひたすら得意にするのがまず求められることです。その後、国立志望者はセンターで必要なその他の科目を仕上げるという順番です。
そんな条件のなかさらに高校の数学はとても難しいので、まず取るべきなのは「ひたすら数学を得意にすること」です。他のことは何も考えずに数学に9割の時間を費やすこと。
さらに、勉強は自習を中心とすることです。塾を開いていて言うのもおかしな話かもしれませんが、授業というのは基本的には効率が悪いことです。市販の優れた参考書をごりごり進めるほうが1時間あたりに吸収できる知識は多いのです。その中で塾としては「ここは強調して伝えておきたい」ところがあるので、授業という形式をとって教えることがありますが、それ以外は全て自習にすべきです。そうすると、学校の授業は積極的に内職の時間にあてることになります。
まれに、学校の授業でも有用なものは聴講するとして1日に5時間の内職をして、放課後2時間自習し、夕食後3時間自習すれば1日に10時間の自習時間を確保出来ます。
「やったほうがいい」ことをとにかく捨てて、「インパクトのあるごく少数のこと」に自分の時間を全て費やすことで、ようやく難関大学を受験する学力を得る資格がうまれます。
まあ、ほとんどの生徒はこんなことをする勇気がなくて、結局どの科目も万遍なく偏差値50〜55くらいをうろうろして僻地の国立や適当な私立に進学していくのですが。
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