月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

行間を読む勉強

英語で言うとread between the lines、行間を読む勉強というのが存在します。

私が受験勉強を始めたとき塾の先生に「キム、教科書の行間を読んで勉強しろよ」と言われました。もちろんそのときは何を言っているのかよく分かりませんでしたが、行間の意味を考えるようにしているなかで、後々なんとなく分かるようになりました。

それは、書かれていないことの意味を考えることです。

たとえば、数Iの教科書で関数の部分に

2つの変数x,yがあって, xの値を定めると, それに対応してyの値がただ1つ定まるとき, yはxの関数であるという。

と書いてありますが、この行間には何が書いてあるでしょうか?

もちろん、1行目と2行目の間という意味での行間ではないので、ここには書かれていないことの意味を考えるということになります。

yがxの関数であることについて「xの値を一つ定めるとそれに対応するyが一つだけ存在する」という条件だよ、とこの一文は言っています。一次関数で図にするとこんなイメージです。

 

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では、ここに書かれていないこと=行間の意味は何かというと「yがxの関数では無いときはどういう時か?」という疑問が一つあげられるのではないでしょうか。

関数の定義が「xを決めると、それに対応するyが1つ決まる」わけですから、関数では無いものは「xを決めると、それに対応するyが2つ以上決まる」というものが考えられます。たとえば、xy平面上で適当な円を描いてみます。

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すると、あるxを一つ定めたときにyが2つ定まります。これは関数では無くて、方程式となります。

もう一つ。二次関数y=ax^2+bx+cをy側からみたらどうでしょうか。

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yを一つ定めたときに、xが2つ定まっています。

y=ax^2+bx+c

という方程式から言えることは

「yはxについての関数である」が「xはyについての関数ではない」

ということです。

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別の例で行間を読んでみます。二次関数が図のような3点を通るとき、その二次関数を求めなさいという問題があるとします。

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もちろん、(1,9) (4,0) (5,1)それぞれをy=ax^2+bx+cに代入して、

 9 = a+b+c

 0 = 16a+4b+c

 1 = 25a+5b+c

の連立方程式を解けば、二次関数y=x^2-8x+16が求まります。

ではこの行間の意味は何でしょうか?

二次関数はある3つの実数a,b,cを用いればy=ax^2+bx+c(a≠0)という形で表現可能ですから、3つの未知数を求めるためには3つの方程式があれば求まります。方程式を作るためには、二次関数が通る点の座標が分かれば良いですから、異なる3点の座標が分かれば二次関数は一つに定まるということです。

もう少し深く読んでみると、一次関数の場合はどうか?

一次関数はy=ax+b (a≠0) の形で表現出来ますから、異なる2点の座標が分かればよいわけです。

次に三次関数を考えてみると、y=ax^3+bx^2+cx+dですから、4点が分かれば求まるのではないかと予想することができます。

このように行間を読む癖をつけて勉強すれば、同じ教材を使っても他の人よりたくさんの知識を得ることができると言えそうです。想像力を鍛えるトレーニングにもなります。

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