月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

塾における値引きの意味

仕事柄、他の塾の新聞折り込みチラシやホームページを見ることがあるのですが、必ず疑問に思うのが「値引き」です。一番多いのが入塾金無料!とか半額!でしょうか。あとは入塾直後の冬期講習を値引きしたり、月謝を値引きしたりというケースもあると思います。

値引きというと支払う側からすれば一見嬉しい話ですが、本当に意味のある節約なのかというのは常に疑問です。

価格というのは基本的には需要と供給で決まりますので、たとえばコンビニに陳列されているおにぎり100円というのは、供給するお店も、需要する客もそれが100円程度の価値であるという合意があるから100円で落ち着いているわけです。もし需要する客が200円をおにぎりに対して払いたいと言えば供給するお店は少し素材を良くして200円のおにぎりを作ります。逆にお店側が「今日から値上げして120円!」と言い出したら、客側は判断を求められますが、妥当と考えれば120円でも需給が一致しますし、高いと考えれば別のものを買うか他のお店を探すでしょう。売れ行きが悪くなれば、価格はまた戻るかもしれません。

中学生向けの塾では大手がいくつかありますが、だいたい有名どころは月謝が5科目3万円くらいでその他に季節講習が乗っかってくるというのが相場です。一方で、もう少し地域密着型のところにすれば月謝は2万円、安いところなら1万円台のところもあるでしょう。もちろん塾というのは先生との相性もあるので安いところでも学力が爆発的に伸びる可能性がありえますが、基本的には高いところほど内申を上げる&当日点を上げる仕組みが充実していると考えてさしつかえないはずです。それでなければ客が離れますから、それにつられて値段も下がるというのが需要と供給による価格決定というものです。

たとえば同じ商品を大量に仕入れて仕入れ単価を下げることが出来れば提供する商品の質は下げずに値引きを行えますが、塾というのは教材を大量仕入れしても値引き額なんてたかがしれていますし、教室に生徒を大量に入れて安くしようとしたら生徒が増えた分だけ最大公約数的な授業になってしまうなど、工夫して原価を下げるというのが難しいのです。だから値引きをしようとしたらサービスの質を下げる(講師に払う時給を下げる)とか、机や椅子がボロボロになるまで使い倒すとか、コピー用紙をけちるとかそういう所にしわ寄せが来ます。

塾にお金を払うというのは学力を上げ志望校に合格する手伝いをしてほしくてのことですから、その期待に応えるしか「安い買い物だった」と思って頂く方法は無いと思うんですよね。「もっとお金を払っても良いくらいだ!」と感じていただけるのが理想ですね。

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清須市の大学受験 相伝学舎
http://www.sodeng.jp