月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

「得意料理は肉じゃがです」の価値を考察する

勉強とは全く関係無い話なんですが、世の中の男性諸君は「得意料理は肉じゃが」という響きに騙されてはいけません。

「得意料理は?」という質問も「肉じゃがですうふふふ」という答えも、あまりに古典的すぎて若人の日常会話では用いられず、どこかの国の日本語の教科書の例文にしか採用されていないのではないかという反論が聞こえてきそうですが、語らせてもらいます。

一度肉じゃがを作ったことがあればわかることですが、肉じゃがというのは料理のなかでも極めて簡単な部類であり、レシピ通りにやれば誰でもそれなりのものを作ることができます。逆に、肉じゃがをうまく作れないというのは料理が下手と言っても過言ではありません。数学でいえば二次関数の平方完成くらい容易です。

他にも親子丼、オムライス、ハンバーグあたりは肉じゃがほどではないものの、難しい料理ではありません。複雑な多項式を、最も次数の低い文字に着目して因数分解くらいの難易度です。

私は6年ほど一人暮らしをしていて、その間ずっと自炊生活をしていたのですが、その自炊生活で見つけた、料理の出来る出来ないの境目ともいえるメニューがあります。それは、「春巻き」です。これは数学で言えば三次式の三角関数をtで置き換えた三次関数の定義域が非情にも文字で表されていたときの最大最小の問題で、微分してf'=0をといたら因数分解できずに解の公式で汚い数字になったくらいの手間のかかる料理です。具体的に説明しましょう。

まず春巻きは使う食材が永遠とも思えるほど多いのです。豚肉、干し椎茸、にんじん、春雨、たけのこ、にら、という基本的な食材だけで6品目になります。豚肉、にんじん、干し椎茸くらいは常に手元にある基本の食材ですが、春雨、たけのこ、にらはわざわざ買いにいかないといけません。これがまず手間です。手間ポイント1です。

これらを細かく切るのですが、6品目を順番に切り適切な場所に保管するでかなりの手間です。これがポイント2。

切ったあとは単純に炒めるのではなく、片栗粉でとろみをつけなくてはいけないという点が、手間ポイント3です。

さらにその後で春巻きの皮に巻かなくてはいけません。手間ポイント4。

さらにさらにその後、揚げなくてはいけません。手間ポイント5。

肉じゃがと比較するとどうでしょうか?

肉じゃがは豚肉、じゃがいも、にんじん、たまねぎ、という家庭に絶対になくてはならない素材で料理を開始できます。春巻きが「春巻きを作るぞ」と思い立たないかぎり作れないのにたいして、肉じゃがは「肉じゃがでもつくるか」で作れます。素材を適当に切ったら、鍋にいれて炒めて適当な調味料を入れて煮れば完成です。手間ポイントはせいぜい1です。

同じように親子丼、オムライス、ハンバーグを手間ポイントで評価すれば、それぞれ2点、2.5点、2点で春巻の5点には遠く及びません(ちなみにコロッケは4点です)。

以上のことを発見した私は、数年前付き合ってまもない彼女が「実家で晩ご飯を準備しなければいけない」とメールで言っていたので「春巻きをつくるべし」と返信して、数時間後に「できた」といって写真を送ってくれたので結婚を申し入れました(本文には一部飛躍があります)。ちなみに私は自炊時代に色々な料理を作りましたが、コロッケと春巻きはそもそも作ろうという気持ちさえおこることがありませんでした。

 

昨日、妻が春巻きをつくってくれたので、私の春巻きに対する思いを綴った次第です。まあなんだかんだいって、私は単純に春巻きが好きなだけです。

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