月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

「効く」数学の勉強をベンチプレスで考える

私は日々、高校生になって数学とくに二次関数が分からなくなってしまう原因と解決策を考えているようなところがありまして、その多くは中学校の数学と高校の数学を同じものと勘違いしてしまうことが原因であることが分かっているんですが、細かくわけるとそのなかでも色々あります。

その一つは「効く」数学の勉強が出来ているかどうかです。

筋トレの種目の一つ、ベンチプレスってあるじゃないですか。私は以前、筋トレにハマっていた時期があって、金山のゴールドジムのベンチプレス大会に出たことがあるほどなんですが、ベンチプレスってそもそもどこの筋肉を使うかわかりますか?

f:id:sodeng:20161111203148j:plain(2012年7月8日の私)

これ、メインは大胸筋なんです。上腕じゃないんですよ。胸の筋肉を使っているんです。

で、胸の筋力を最大限引き出すためにはフォームが極めて重要で、写真を見てもらえばわかるとおりお腹の部分をかなり上げています。背中は肩甲骨をのぞいて、ベンチに接していないんです。思いっきりのけぞっています。

筋トレなんて誰でも気軽に出来ると思うじゃないですか。これ、独学では絶対に無理です。ちゃんとしたジムのトレーナー(市が運営するジムとかホテルのジムのトレーナーはたぶん知りません)に教わらないと、「胸に効く」フォームが身につかないのです。

ベンチプレスに限った話ではなく、ジムにおいてある筋トレのマシーンは必ず正しいフォームというのが存在します。そのフォームというのは素人には絶対に分からないものなので、初めてマシーンを使うときにはトレーナーに教えてもらうことが必要で、数ヶ月もすればフォームが崩れてくるので定期的にチェックしてもらわないといけません。

ベンチプレスでもなんでも、ちゃんとしたフォームが身につかないと適切に筋肉を鍛えられないということです。

(ちなみに、ゴールドジムは筋トレを愛する人が多数集まるので、「きみ、ベンチプレスのフォームが良くなったなあ!」と筋肉モリモリのおじさんに話しかけられたりします)

で、数学に戻ります。

数学も同じで、同じ青チャートを使うにしても、使い方を誤ると「効き」ません。とくに危険なのは、公式です。数学には多数公式が存在しますが、高校の数学は公式の意味を理解して使うことがすごく大事で、なんなら公式をその都度導くことで利用すべきものも少なくありません。

2倍角の公式cos2θ=2(cosθ)^2-1は使っているうちに覚えるものですが、3倍角の公式はcos3θ=cos(θ+2θ)の加法定理で導くことでいつでも使えるし、忘れがちな和→積、積→和の公式も同じように加法定理から30秒ほどで導けることが大事です。

三角形の内接円の半径ははS=r(a+b+c)/2という公式で求められますが、この公式を使うときには内接円の中心から三角形の頂点へ線が引かれた絵を思い浮かべられないと使ってはいけません。

2次方程式の判別式Dも意味をちゃんとおさえるべき公式で、そもそも判別式が「二次方程式」の判別式であって「二次関数」との区別がついていない生徒なんていくらでもいます。判別式Dを二次方程式から導けるのと、二次関数の頂点の正負から導けるのも、実数解が存在することの意味を理解する上でたいへん重要です。

だから、青チャート(でもなんでも)を勉強するときには、いきなり例題を解き始めるのではなくて、その前に定義や基本的な公式の成り立ちを理解するという下処理がないと、どれだけ解いても身につきません。

こういう「覚えちゃいけない公式」つまり「意味を理解すべき公式」をおさえることは、筋トレで言うフォームを身につけることと同じです。いちいち気にするのは面倒だけれど、ちゃんとおさえておけばものすごく効く勉強方法があるわけです。

(といいつつ意味を理解する必要がない公式はほとんど思い当たりませんが・・・)

清須市の大学受験 相伝学舎
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