数学重傷患者の救急体制をととのえている私の塾では、患者の病状を観察することで、日々効果の高い治療法を考えています。適切な治療をほどこすのに必要なのは、原因を見極めることです。そこで、これまでの研究で判明している原因を紹介します。
1.基礎軽視
これはほとんどの生徒が抱えている原因です。公式は覚えればいい、定義はとくに気にしない、という態度が諸悪の根源であるとは、指摘されるまで永遠に気づかないでしょう。進学校は数学の進度が速いのでさっさと問題を解きたくなるのかもしれませんが、基礎軽視で対応できるのはせいぜい狭い範囲から出題される定期テスト程度です。いや、定期テストもそんなに簡単ではないので、定期テストすら結果が出ないこともあります。高1の春から勉強しているのに徐々に成績が下がる、という症状が特徴です。植物を育てるときに、肥料や水分を土に与えないで種を植えて芽が出ないとなげくようなもんです。
2.演習軽視
これも多くの生徒で当てはまります。問題集を一周やったくらいでは、解法の表面的なところしか理解できません。週末課題という無意味なプリントの消化で数学を勉強した気になっている高校生や、解説のない問題集を苦労して取り組むという涙ぐましい努力をしている高校生も、尾張には多いことでしょう。これらはかかる時間の割に吸収できるものが少ないという点で、結果として演習不足を引き起こします。キュウリをひたすら食べて、栄養不足をなげくようなもんです。
明日に続きます。