昨日、壮大な嘘をついてしまいました。
現実のウサギとカメの話をお伝えします。まず、童話ではウサギとカメには能力の差があり、ウサギが速くてカメが遅いということになっています。普通に競争すれば、ウサギが勝ちます。
横軸に時間、縦軸に距離をとればそれぞれの速さは直線の傾きで表現できます。
しかし「強いものが勝ち、弱いものは負ける」では誰の共感も得られませんので、物語の設定上、ウサギはサボり癖があることになっています。そして、カメはコツコツ継続する特殊能力のおかげで、ウサギに逆転勝ちできます。
これはいかにも、無能な人間が「俺は本当は出来るんだ」と思い込むことをあおる物語です。多くの人に共感される物語とは、大多数の無能な人間に共感を与えるものです。
ところがどうでしょう。実際に、ウサギがサボってカメが継続するでしょうか?
そんなはずがありません。ウサギはこれまで継続してきたからウサギなのであり、カメはサボってきたからカメなのです。
中学時代に定期試験対策をコツコツ継続してきたから高校になって難しい数学についていけるのであり、中学時代にたいして勉強してこなかったから高校の数学で死亡するのです。
つまり、現実とは「ウサギとカメ」なのではなく、トランプの「大富豪・大貧民ゲーム」です。強いものは最初から強くて、弱いものは相当頭を使わないとちょっとやそっと継続するくらいでは勝てない。
もしくは、現実とは「ウサギとカメ」の勝負なのではなく、「ウサギの速さを持ったカメと、カメの速さしか持たないウサギ」の勝負と言ってもよいかもしれません。
もちろん、絶対に勝てないわけではないのですが、「ただ継続するだけ」というだけではダメです。もっと地味で、忍耐を必要とします。
それは「倍の時間継続する」です。
倍の時間勉強(=時間軸を圧縮)してやれば、カメの傾きをウサギの傾きに近づけることができます。そうすることで、カメはやっとウサギに追いつける。いや、そうすることでしかカメはウサギに追いつけません。
大学受験にはカンニングや替え玉以外に「してはいけない」ルールはありません。1日24時間勉強したって誰も文句を言えないのですから、そのルールを利用して2倍でも3倍でも勉強すれば簡単に能力差を克服できます。
理屈ではとっても簡単な「他人の3倍勉強するカメ」戦略は、塾の生徒ではちらほら見かけますが、現実には希少種と言わざるを得ません。
これでまた人気塾に一歩遠のきました。本当のことを言われて喜ぶ人なんてそうそういないですからね。 耳が痛いことを言ってくる人に「その通りです。今日から改心します。」とはならない。「あいつは分かってない」となる。