月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

五条高校の生徒が3年間しっかり勉強して国立大学医学部に現役合格した話 9

ここでまたひとつ、五条高校生、いや、愛知県の高校生には他の難関大学受験生と比較して圧倒的な不利が待ち構えています。それは「自由登校がない!」です。

進学校だとセンター試験終了後から卒業式まで自由登校といって、学校にこないことが黙認されるところが多いです。二次試験というのは各大学傾向がバラバラなので、一斉授業をするよりも生徒が赤本と向き合って対策をするほうが効率的だという考えがあるのでしょう。3学期全てを自由登校とするところもあるし、そういう高校生もいます。

現役の生徒はこの時期にどれだけ伸ばせるかが合否に関わってきます。それなのに、ひたすら生徒を学校に登校させるのが五条高校をはじめとして尾張の高校の常識になっています。管理され続けた生徒は最後まで管理しきらないとダメなのは分かりますが、Kさんのようにモチベーションが高くて頭が良くてストイックな生徒まで強制にしないでいただきたいです。

ここでも色々あったのですが詳細は省略して、Kさんは毎朝9時に塾にきて23時に帰っていくという生活を二次試験前日まで続けました。つねに自習室左奥の机に朝から晩まで座っていたので、高2以下の生徒には相当印象的に見えていたようです。

この時期になると私ができることはほとんどないので、帰り際に「今日過去問解いた?どうだった?」くらいの雑談をするくらいでした。本当は「俺が二次対策を個別に教えてやって合格点まで育てた」とか言いたいんですが、残念ながらないですね。うちの塾は、レベルの高い生徒ほど放置するのがウリですから。

しかし、自分で勝手に全力疾走できるタイプの人間が医学部に受かったことで、確実にこの世の中は少し良くなった(良くなる)と、今あらためて思いますよ。医学部行きたい人のなかにはお金にものを言わせて自走できない分とか能力のなさをカバーする人も相当数いると思うのです。一方、田舎の中堅公立高校でしかも管理教育という、環境が超不利な状況であっても、自分の内部にあるエンジンで邁進してそれを乗り越えていけるなんて、この先医療の道で何かあっても自分で進んでいきそうだという未来が見えるじゃないですか。

自分で走れないやつを追い抜いておまえが受かる価値があるのだし、うちの塾に来たというのはそういう人間になるというおまえの運命なのだよ、だから、受かるよ。と、1月頃に太鼓を叩いてやりましたよ。でも本当に、そうやって運命をしょってるように見える生徒も、いるんです。

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