大学受験というのは高校受験とちがって第一志望合格者が格段に少ないので、難関大を目指したとしてもダメなことだってあるというかむしろダメになる場合のほうが多い競争です。でもだからといって、最初から諦める必要はないし、どうせ行けないなら適当にやろうと思うべきでもありません。
塾で教えていても難関大を目指す場合は、「10回受験したら10回受かる」という状態まで仕上がることはまずありません。「10回受験したら2回、3回受かる」くらいまで持っていければその時点でかなり勉強した部類にはいるといっても良いです。どういうことかというと、当日の問題との相性とか、緊張に打ち勝てる性格かどうかとか、直前に風邪を引かないかとか、学力とは別の要素が多いにからんでくるわけです。
ではそれまで勉強した2年間あるいは3年間は、直前の運要素で無駄になるかというとそんなことはありません。受験の結果は運要素で成功することも失敗することもありますが、その過程で身につけたことが受験によって失われることはないからです。
大学受験勉強は、内容が難しいし期間的にもかなり長期の挑戦になるので、まじめに取り組めば学力の向上だけでなく内面的成長をする場面が何度もあります。受験勉強を本気で取り組むことのメリットは、学歴をゲットできるかもしれないことと同じかそれ以上にこの内面的成長にあるように思います。
これは何も勉強ではなくても良いのです。野球やサッカーなど部活で上位を目指すとか、楽器でもいいし、乗り鉄の趣味とか、なんでもです。
何をするにしても本気で取り組めば、なんらかの気づきや成長が得られます。そしてたいていそういう気づきや成長というのは、運動や楽器、趣味に固有のものではなく、何事にも通じるものなのです。
指導者の言うことはとりあえず素直に聞いてみると伸びるとか、でも素直に聞いているだけではだめでどこかで自分の頭を使って考えないといけないとか、大きなことを達成するためには毎日一定の努力を継続する必要があるとか、何にでも言えることです。
結局学歴というのは表面的なもので、就職活動するときにちょっと有利になるとか、面白い友人に恵まれる可能性が高くなるとか、そういう表面的なことは自分とは関係ありません。私が慶應に受かったからといってその合格通知によって何か体内の成分が変わったわけではないし、受からなくても変わっていません。
一方で、受験勉強を通じて得られる学びというのは内面そのものです。どうせやらなきゃいけない大学受験で、学歴以外にも内面的成長を得られるチャンスがあるのなら、本気でやればやるほどお得なんです。