共通テストでの基礎無し理系地学(以下「地学」)受験者はとても少なく受験に関する情報が全くといって良いほどありません。これだけネット上に勉強方法があふれている時代において受験の七不思議(もはや死語?)といっても良いでしょう。
令和2年度の受験者は
物理 15万人
化学 20万人
生物 6万人
に対し・・・
地学 1600人\(^o^)/
なんと化学の10分の1どころか100分の1以下ですw
私が名大二次試験を受験したときも50人いる教室に地学受験者は私1人でした。
これには、
地学で受験可能な大学が少ない→地学教員が増えない→高校で地学を履修できない→地学受験者が少ない
という背景があります。
理工系は物理化学、農学系はそれに加えて生物で受験可能になるのでほとんどの高校生は化学を軸に理工系なら「+物理」、農学系で物理が苦手なら「+生物」という選択をしていく場合がほとんどです。
ではどういう人が地学を選択するかというと、理学部志望者です。
理学部志望者が多ければもっと地学受験者は多いはずですが、理学部志望者というのはかなり少なく私自身塾で教えていて6年の間にわずか数人しかいませんでした。高校生の志望はおおむね工学寄りで、それ以外は医歯薬、農、応用生命などが続きます。
高校で地学の授業を実施しているところが少ないというのも大きく影響しているはずです。
地学は物理、化学、生物と比較して暗記量が少ないので地学が好きな人なら基礎無し理系地学の範囲でさえゼロから半年もあれば詰め込めてしまいます。
「褶曲ってなに?」「プレートテクトニクスってなに?」「コリオリって美味しいの?」
くらいの地学学習歴ほぼゼロの状態からスタートして国立二次試験まで習得する勉強方法の例を紹介します。私は以下の流れで3ヶ月の学習でセンター試験地学91点、名大理学部の二次で地学を選択し7割程度解答までもっていけました。
まず
きめる! 共通テスト地学基礎 (きめる! 共通テストシリーズ)
で計算を伴わない地学の知識を一通り暗記します。
最近の学研の参考書らしく、かなり見やすいカラー刷りです。
アウトプット用には
リードLightノート地学基礎(数研出版)
がちょうどよいです。
よくある問題集です。正直、ものすごく良いかというとそういうわけでもないんですが、他にないのでこれでもありがたいのです。
ここから先、私は高校時代に買って手元にあった
という絶版の参考書をひたすらノートにまとめていきましたが、地学の教科書でも代用可能です。
地学基礎の問題集でもそれなりに網羅できるのですが、地学となると計算問題が増えるので数式を用いた理論的な理解をしていかないといけません。
数式といっても物理や数学と比べて計算量は少なく、そのもの自体は中学生でも出来る程度のものばかりです。
現在入手できる参考書のなかでは
が勉強しやすいと思います。大学受験で出題される話題が網羅されており、2011年の東北沖地震の話題も掲載されており最新の話題にも対応できます。
「理解しやすい地学」には演習問題が少なかったのとあったとしても20年前の古い参考書なのであんまり練習にならないかなと思い、それと並行して
を買って掲載されていた順に解いて、ノートに解答をまとめていきました。
左ページの問題を貼って、自分の解答を自分で添削していきます。右ページには関連情報を調べてまとめました。
この問題集は解説がないので短答式だと上の写真のように「答え (A)」としか書いていません。そこで前述の「理解しやすい地学IB」を見て解答の根拠を調べていたのですがこの参考書もそこまで詳しいわけではないので、
という北大の教科書を買って辞書的に使いました。
基礎無し地学は本当に参考書がこの世に一冊もないので、絶版のものかこういう受験参考書ではないものから探していかなければいけません。
でも地学が好きな人にとっては苦にならないどころか、ひたすら楽しい勉強になると思います。
この過去問演習の勉強で印象的だったのは記述で「ホルンフェルス」と「結晶質石灰岩」を答えさせる問題がやたら多かったことです。なんででしょう?
2022年6月追記
実は基礎無し地学の問題集で啓林館の「センサー地学」というものがあり、これは入試問題が網羅されている上に別冊解答がかなり詳しいので、超おすすめです。
もしこの問題集の存在を私が受験時代に知っていたら、使い倒していたと思います。
以上を10月、11月に取り組み、12月からはセンター試験過去問題に取り組みました。
共通テスト問題研究 地学/地学基礎 (2021年版共通テスト赤本シリーズ)
センター試験の過去問はしっかり解説があるので勉強がしやすかったです。
センター試験は偏り無く色々な問題が出題されるので、過去問を解けば解くほど勉強になります。
が、実際にはこちらのサイトを活用させてもらいました。
おばさん爆走中 地学教育編
https://staff.aist.go.jp/r-morijiri/MyHome2016/bakusou/about1.html
センター試験の問題と解説が掲載されています。
解説の切り口が実用的で面白かったです。
「地球の半径が6000kmで太陽はその100倍と知っておけば70万kmとわかる」
みたいな説明が確かどこかの年度であったのですが、こういう感覚的な推理方法が特に好きでした。
私は過去問演習まで2ヶ月しかインプットの時間がなく、暗記が全然できていない状態だったのでセンター過去問演習を知識のインプットとして使っていました。
ですので普通は60分で全問解いてから答え合わせをするものですが、私の場合は1問解いてはすぐ答えを見て、知識の穴を感じた場合にはすぐにノートにまとめていました。
食事中や移動中などのスキマ時間ではyoutubeでのインプットが有用です。
コリオリの力、連星の計算など基礎なし地学の基本的な解説あり。簡潔でスッキリした解説が特徴的です。アニメーションが作り込まれていて視覚的にも分かりやすいです。
物理屋チャンネルと同じように地学の解説がある。解説はちょくちょく面白いので親しみを感じます。
ウェザーニュースチャンネルのなかのコーナーで「ガチで天気を身につけるガチ天」というものがあり、気象分野に関する勉強になります。参考書に書いてあることと同じことなのですが、同じことも違う人がした説明を聞くとより暗記しやすいように思います。
以上、名古屋大学理学部の地学受験体験を通じた、実践的勉強方法のご案内でした。
当塾では地学を利用した受験をしたい生徒の入塾を受けつけています。