月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

九州の地質2 らくだ山岩脈

阿蘇山火口の南東にある「らくだ山」へ行ってきました。

この写真に写っている岩石は地面からニョキッと生えているかのように見えますが、なぜこんな岩石があるのでしょうか?

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これは「岩脈(ダイク)」といって貫入したマグマが固まったいわばマグマの化石です。

貫入とは・・・たとえば氷水がはられたお風呂を想像してください。お風呂の底にいきなり穴があいて、そこから温かいゼラチンが湧き上がるとどうなるでしょうか?たぶん湧き出ながら固まります。似たような実験をすると湧き出るときに板状になってでてきます。

マグマでも同様のことが起きます。

冷たいマグマに暖かいマグマがあとから割って入ってくると、板状になって湧き出てやがて固まります。


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トサカのようにそり立つ岩脈の手前に、「右手でグー」しているような岩が見えますね?これがもともとあったマグマで、この中にトサカが貫入してきました。もともとあったマグマのほうをよく観察してみると、表面には角礫(角張った石ころ)があり基質(全体をなすもの)は簡単に削れます。

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(境目から左がトサカで右がグーの部分)

削ると指にサラサラした砂粒がつきます。これはマグマが噴火後に急冷したときにできる凝灰岩で、角礫を含むのでたぶん凝灰角礫岩です。

手で簡単に削れるということは、風化に弱いということです。

もともと地下にあったものが周りの岩石(ここでは凝灰岩)が風化によってけずられて、この岩脈が地表に現れました。

トサカ部分を観察すると基質は灰色で斑晶に長石と黒雲母を含む安山岩でした。

このトサカ部分は周囲のマグマに急冷されているので、境界付近にチルドマージンと呼ばれるガラス質部分が観察されます。

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他の部分と違って、ツヤツヤした部分があるのが分かりますか?マグマは急冷するとガラスになります。みなさんがよく知っているものでいうと黒曜石はガラスの固まりです。


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何かの宗教施設がありました。

 

らくだ山

走向 N59W 傾斜60NW 幅5m

貫入岩:安山岩(基質:灰色、斑晶:長石、輝石など)

周囲の岩:凝灰角礫岩

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