ネットであふれている「効率的な勉強方法」や「定番の参考書」は、調べればすぐに出てきます。
大学受験というのは、やるべき参考書とそれをどう取り組むかというのはずっと昔からだいたい決まっています。そのなかで宗派みたいなものがありますから、速単派の人は速単の効率的な使い方を指導しますし、シス単派の人はシス単で同様のことをします。DUO派やユメタン派も前二者と比較したら少ないものの、同じことです。(ターゲット派は絶滅危惧種ですが公立高校でガラパゴス化しています。)
宗派の違いは大きく見えるかもしれませんが、どの参考書も使い方やペースが確立されていれば結果が出るものです。キリスト教でもイスラム教でも信仰すれば幸せになれるのと同じです。 ちなみに私は速単派かシス単派かでいえば速単派であり、速単派として速単を最大限活用する方法を指導しています。しかしシス単はダメというわけではなくて、シス単の良い使いかたを教えてくれる人に教わるなら、それでいいと思います。
私の指導では、すでに英語ならこれ、数学ならこれ、というある程度の道のりが決まっており、あとは生徒の現状の学力と志望校のレベルにあわせて、残された時間をどう配分するのか頭にいれて最初の勉強内容を指示します。
ネットや本の合格体験記で書かれていることは万人にとって当てはまることではありません。「部活が終わってから本気出して東大に合格した」という体験記を読んで、「じゃあ自分も部活が終わるまで勉強はそこそこにしておこう」という判断が正しいと思いますか?
田舎の公立高校の生徒にとって、合格体験記の致命的な落とし穴があります。それは、そういう合格体験記を書いている生徒は有名一貫校であることが多いということです。もとのレベルが違いすぎるし、学校の指導内容もスピードも公立高校とはまったく異なります。だから、独学で合格体験記を読んでうまく真似するのは極めて難しいのです。
他人の成功体験を自分に当てはめようとするには、まずそのお手本となる成功体験と自分を比較して致命的な差がないかどうかを検討することが絶対に必要です。これが生徒が自分で勉強方法を模索することの難点です。
一方指導者側からみるとこの作業はそこまで難しいことではありません。新しく生徒を教えるときには、過去の成功法則のなかから近いものとその生徒の状況を比較して、少々アレンジするというだけで、その生徒にとってベストなやり方を提供することができます。もちろんそれより良いやり方はいくらでもありえるでしょうが、10点満点で9点の指導は出来ます。4点と9点の間には大きな差がありますが、9点と9.5点の間の差は問題視すべきではありません。その0.5点を探す時間で、0.5点分を失ってしまいます。
(つづく)