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月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

amazonで評価が高い参考書でも、自分に必要とは限らない 1

山ほどある参考書のなかには、amazonの評価が高いものや、色々なblog(受験生ブログや塾講師ブログなど)で紹介されているものがあります。

たとえば数学なら「合格る計算IAIIB」や「1対1対応の数学」、英語なら「英文解釈教室」、「英文読解の透視図」など、色々ありますよね。予備校の先生や東京出版など大学受験に精通している人たちが書いている参考書は問題も解説も洗練されていて10ページ進めるのに相当なエネルギーを要するものの得られるものもまた大きい、という参考書が少なくありません。

私も受験生だったころには塾の授業のほか、すごく良い参考書に出会うことができて学力が伸びた経験があり、良質な一冊の参考書から得られる学力がとてつもなく大きいことを知っています。こんな良い参考書が1300円でいいの?と思うことが多々あります。

では、「〇〇という予備校の先生が紹介していて、かつamazonの評価もすごく高い△△という参考書は、とりくめば学力が上がるにちがいない!」という判断をしていいのかというと、そう簡単ではありません。

学力の低い人にあう参考書もあれば、高い人にあう参考書もあるし、同じくらいの偏差値であってもテストを解かせて判断してみると、苦手な部分が違うということはいくらでもあるからです。

そう考えると、参考書選びというのは参考書そのものを見極めるよりも、自分の学力を適切に見極めることのほうが大切かもしれません。

適切な参考書選びとは、

1.自己分析により自分の学力と苦手分野を知る

2.情報収集して自分の課題に合う参考書を探す

3.その参考書の使い方を調べる

という、ざっくり3段階によって構成されます。どれも同じくらい重要なのですが1と3は多くの場合意識されることがありません。なので、評判の良い参考書をかっても思ったように学力が伸びず・・・ということがありえるのです。

たとえば「物理のエッセンス」という有名な参考書があり、良い評判多い参考書なのですが一方でエッセンスを取り組んだが全然わからなかった、という評判も調べてみるとたくさん出てきます。

これは1の自己分析と3の使い方を軽視した結果だと私は思います。

とくに物理のエッセンスは一冊907円(税込)と安いので、「評判もいいし安いし買ってみよう」と思いがちです。で、私自身この参考書で勉強してみて、ものすごく分かりやすくて良い参考書だという評価をしているのですが、「わかりづらい」という評価をする人がいることも分かるし、そういう人がどういう勉強をしているのかもわかります。

おそらく、物理がそんなに得意ではなくて、安いし評判が良いからやってみようと思い立って買ってみて、練習問題だけさらっと解いてみたら解説がシンプルでわかりづらかった、というオチではないでしょうか。

逆に、物理や数学がある程度得意で、物理・数学の勉強のやりかたがある程度分かっているという生徒なら、これ以上の参考書はありません。回りくどくないシンプルな解説と理解を問う設問が気持ちよく思えます。

もう一つ別の参考書の例をあげます。

冒頭で「合格る計算IAIIB」という参考書を紹介しました。この参考書も私はすごく良いと思うのですが、生徒全員にすすめるかというとそういうわけではありません。実際にこれを紹介して取り組んでもらっている生徒もいれば、そうでない生徒もいます。

この参考書は塾や予備校で数学の授業をとっている生徒よりも、地方の公立高校にいてそういうサービスが近くになく独学せざるをえないという生徒に効果が見込める参考書です。この参考書に書いてあることは、塾や予備校の授業であれば授業中に盛り込まれることが多い内容だからです。

なので私は高1の春から在籍している生徒にこの参考書を薦めることはありませんが、高2あたりから入ってくる生徒には紹介するべきか考えることがあります。

以上のとおり、参考書選びというのは実はかなり難しいことです。現役高校生が一科目にたいしてせいぜい数冊程度しか本気で参考書に取り組める時間はないことを考えると、 その一冊を決めることは受験の結果を大きく左右しうるものだといっても過言ではありません。

それだけに私も生徒に参考書を紹介するときには、かなり考えます。時間でいえば1週間や場合によっては1ヶ月くらいかけて、次に何を紹介するのが良いだろうかと吟味します。それは、1年、2年とずっと教えていてある程度学力やクセを把握している生徒であっても変わりません。高3になり志望校の対策という点を考慮すると、過去問題をみて傾向を把握しなければいけないため、余計に手間がかかります。

私みたいに年中ずっと勉強のことと生徒のことを考えている人間であっても、難しいと思う作業です。高校生が自分一人で調べて考えて、人生の一冊に出会うことは奇跡に近いことです。ふらっと本屋さんの参考書コーナーにいって、ぱらぱら立ち読みして買って成功することはありません。感覚的には、目をつぶって自宅から学校まで何もぶつからずに登校しようとするのと同じくらい、無謀な挑戦です。

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清須市の大学受験 相伝学舎
http://www.sodeng.jp