月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

気づかない下りエスカレーター 6

というわけで、

・私大→会社に就職

・国立大→県内のちょっといい会社に就職、もしくは公務員

・難関大→一流企業(国内、外資)に就職

・???→個人で食べていく

という大まかな流れを考えてみましたが、読んでもらってわかるとおり、どの道を選んだとしてもリスクはあります。大事なのは、自分がどういうリスクを取っていきたいのかということ。

私は大企業に就職して95%安泰だが5%の確率でクビになって路頭に迷うリスクは取りたくありませんが、個人事業主として今後どうなっていくか全く見えないというリスクを取ることは出来ます。それは自分の人生の主権を自分で持ちたいという考えがあるから。

人によって、どういう人生を歩みたいという考えが異なるから、どういうリスクならとれるかというのも変わってきます。ただ、上に書いたレールというのは高いところから低いところへと移っていくことは出来ても、低いところから高いところへは行けません。日本では、選択肢が最も多いのが大学受験の難易度順になっています。 (ちなみに個人というのは高いも低いもクソもなくいつでも誰でも飛び込めます)

高校生にとって、以上のことを俯瞰的に考えて「私はこうしたいから、○○大学」と考えるのはまず無理ですが、レベルの高い大学ほど選択肢があることくらいは十分に想像できるはずです。選択肢を残せるという点で、自分が目指せる最高ランクの大学を目指して高校3年間を費やすというのは高校生が思っているより遥かに価値があることです。

そして、個人として生きていくことも時代において、自分が何をしたいかどうやって生きて行きたいかを考えて判断していくことというのは豊かな人生を歩むためには必須の能力に思えます。

受験する大学を選ぶことと、そのための勉強をどう進めていくかを選ぶこととを丸ごと学校に預けてしまう高校生が地域柄少なくありませんが、判断力というのは自分でやってこそ身につくもの。それが失敗になるにせようまくいくにせよ、自分で判断した結果ではないと反省は生まれません。

気づかない下りエスカレーターの時代ではありますが、豊かに生きていける道はいつの時代でも存在するはずです。それを見つけるのは、みんながやっていることをやってきた人ではなくて、自分で考えたことをやってきた人ではないかと思います。 

清須市の大学受験 相伝学舎
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気づかない下りエスカレーター 5

最後、高卒の層を書こうと思ったのですがあまりに実態が分からないため発言は控えます。そのかわり、今出現しつつある層について書いてみます。

他国がどうか知りませんが、日本という国は経済成長に成功してそれなりに物質的に豊かな国になって、15万円稼げれば死ぬことはない、というか住むところさえあれば5万円でも十分生きていけるという状況にあります。

実際には、家計の収入はもっと多いので、じゃあ余ったお金を何に使うかということになるわけですが、それが以前なら家電製品とか車とか、一昔の世代においてはみんなが欲しいものを順番にそろえていくという時代があったように見えます。

しかし、今は家電にしろ車にしろいくらでも安価にマトモなものが手に入るし、みんなが欲しいクラウンが欲しい、という時代でもありません。

人によって欲しいものや歩みたい人生が異なっていて、誰もそれにたいして文句を言わないという時代に突入しています。平たい言葉でいえば「個人の時代」です。

最近のテレビ番組は、個人に焦点をあてたものが10年前と比較してとても多いと感じます。テレビを見なくとも、インスタグラム上ではちょっと素敵な個人が人気を集めているし、youtuberなんてジャンルもまさしくちょっと有名な個人です。

このことは、ある一つの大きい成功例をみんなが追いかける時代ではなく、人によって求めたい人生のイメージが分散していて、自分がいいなと思ったものだけをフォローしていく時代にあるということを示唆しています。

有名人がたまに「好きなことが仕事になる時代」(google検索結果)というようなことを言っていますが、自分がフォローしたくなる人物というのは、その好きなことにたいして全力で没頭している人です。

人がフォローしたくなるほど自分の趣味に没頭できれば、それが仕事になる時代です。ただ、とりあえず大学受験をして就職していくんだろうなあと思う人にとっては完全に無縁なこと。一生、フォローする側です。また、なろうと思ってなれるものでもないと思います。好きでやっていたら、いつのまにかフォロワーが出来て、生活できる程度の収入になった、というのが今の段階では実情でしょう。

みんなと同じことがよいことと習ってきた日本人にとって、今は「えっ、自分の人生選んでいいんだ」と気づき始めた段階ですが、一度身近なところで事例を見るとその流れは加速していくことでしょう。

「個人」として生きていく人の割合は、おそらくあと5年くらいは増加していくんじゃないかと思っています。私も多かれ少なかれblogを通じて個人を売っているのでこのジャンルに片足を突っ込んでいます。

 

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気づかない下りエスカレーター 4

一流大学からの一流企業(国内)の他に、一流大学からの一流企業(外資)という道もあります。

apple、amazon、microsoft、google、oracle、P&G、アクセンチュア、マッキンゼー・・・有名なところでいうとこういう会社です。

これらの会社への就職というのは、会社への就職という意味よりも業界への就職という意味のほうが強いんじゃないかというのが私の考え。というのも、外資系の会社というのは社員が定年まで勤務し続けるものというスタンスではないし、社員のほうもまた定年まで勤務し続けるつもりはないというスタンスだからです。そこで働くのは成長できるからであり、他にもっと成長できる場があるのならいつでも転職できるし、転職することによって給料が下がるというケースは同一業界内なら少なく、むしろ上がる場合すらあります。また、日本の会社の部長が解雇されたら路頭に迷う可能性が高いのにたいして、外資系の部長が解雇されたらどこか適当な会社に引き抜かれて仕事を続けるというのが普通。

私の所属していたtrendmicroは厳密には外資ではないのですが実体的にはこのカテゴリーだったので、成長意欲が高くて変化を好む人間が全員ではないにしろ比較的多い環境というのはとても心地よかったです。

外資系企業=英語を使って海外でバリバリ働く、というイメージを持つ人も多いかもしれませんが実際は逆。英語を使って海外でバリバリ働くというのは昨日書いた、日本の会社で海外を相手に商売しているトヨタとか、そいういう会社です。外資系企業への就職というのは、外資系企業の「日本法人」への就職なので、基本的には国内での売上を積み上げていく場所です。お客さんは日本人だし、たしかに外国人の社員はそこそこ多いですが、社内での公用語は日本語だし、たまに海外法人の人とメールをする機会もありましたが6年間勤務していて20回に満たない回数でした。

外資系企業は身分が不安定だし、会社に社員寮とか社員食堂とか保養施設がない分、基本給が高めです。入社1年目の時点で給料は日本の会社の1.5〜2倍くらいで、その後も高めに推移していきます。

ただし、極端なところだと"up, or out"といって「昇進できないなら退職してね」という会社もあるし、そうでなくとも60才くらいまでどこかの会社で働けるようスキルアップしていかないといけないという、お尻に火がついた感を常に感じながら生きていくことになります。

また、「やっぱ日本から撤退するわ、テヘペロ」とヘッドクオーター(本国)が言い出したら、トカゲのしっぽを切るように整理されてしまう可能性もあります。

しかし、この層での人生というのはそもそもそれなりにリスクを背負うことになるので、国内市場が縮小するとか日本法人が撤退するとかはそれに比べたら些細なもので(単に転職すりゃいいって話になる)、それより自分の職業人生をどう確保していくかの戦略を立てることのほうがよっぽど問題です。かくいう私は、文教市場(小中学校)で売るのが好きだったので、最後の2-3年くらいは文教市場の担当を回してほしいというアピールを結構していました。私が外資ITの世界で生きるのなら、たぶんあの道を進んでいたと思うんですが、もっと夢を追うことにして、辞めちゃいました。

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気づかない下りエスカレーター 3

大学受験でもう少し頑張ると、県内の有力企業、というレベルではなくて誰もが知る大企業への世界が開かれてきます。何度もいいますが私自身はその道に全く魅力を感じませんが、収入の高さや肩書きのかっこ良さを考えると、うらやむ人が少なくないのも事実です。

愛知県でいえばトヨタ、デンソー、中部電力、JR東海、アイシン精機、ブラザー工業、豊田通商あたりなら誰でも知っている企業でしょう。文系なら名大、理系なら名大か名工大くらいからではないと入社できる可能性は相当低いんじゃないかと私は予想しています。女性が一般職で入社するのならもう少し門戸は広くなると思いますが。

地場企業と比べると市場が日本に限らないのが良いところです。たとえばトヨタ車を販売するという仕事は日本国内での仕事になるため内需に依存してしまいますが、トヨタ車を製造するという仕事はむしろ世界を相手にやっていける仕事なので、日本沈没=自社も沈没、とはなりません。

中部電力やJR東海は内需ですが、インフラというのが強い。人々が絶対に払わないといけないものを売るのは永続的に儲かるのです。電気、ガス、鉄道、保険、など。これらは景気が悪くなって財布のヒモが締められても出費が減らない項目です。しかも、毎月必ず一定の金額を払いますから、売上が極端に上下することがないのです。

私が以前働いていたtrendmicroも似たようなところがあって、セキュリティというのは一度導入したら基本は継続して利用してもらえるものなので、やっぱりすごく儲かっていました。

会社の財務的な健全性というのは一平社員にとって関係がなさそうで、関係してきます。それなりに給料が良くなるし、会社が当面潰れなさそうだという安心感が得られます。

とはいえ、一流大学からの一流企業というのが幸せな人生をもたらす条件とは言えません。見栄の部分なんて入社して半年も働けば自分にとってはどうでも良くなってしまうし、お給料がそこそこ高くても、人間の高度な適応力=慣れ、によって、ありがたみは一瞬で薄れていきます。

大企業が潰れることだって珍しくありません。しかも大企業が潰れる場合には、前もって全社会議で社長が社員に伝えるという儀式はゼロで、ある日突然新聞の一面をみてびっくり、となるほうが自然で、気づけば渦中という状況になります。大企業にだってリスクというのはあるのです。

会社が潰れないとしても出世競争はあるし、その競争もラクなものではなく上司に好かれるかどうかという中学時代の内申点獲得競争に似た性質を持っています。どういう上司のもとで働けるかという運の要素も強い。この辺は「課長島耕作」とか「白い巨塔」でも読んでもらえれば嫌と言うほど実感できます。

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高校生の夏休み周辺の入塾について

先日、中学生向けには国語の講習をやりますという記事をupしましたが、高校生向けにはそういう期間講習というのはありません。平常月の授業が、ちょっと回数多めに進んでいくだけです。なので夏休み限定での授業参加というシステムもありません。意味ないですから。

夏休みだけ頑張ろうというのは、夏休みがおわったら頑張らないということの裏返しであって、短期集中的に覚えたことというのは中学校の定期テストとかせいぜい高校受験までしか通用しません。そんなこと、高校生がやっても、大学入試までにはキレイさっぱり忘れてしまいます。

もし、「夏休みは頑張る!」みたいに気張っている人がこれをみていたら、水を差してしまってごめんなさい。でも、本当ですよ。

スポーツをやった経験があればわかると思いますが、技術というのは毎日積み上げて積み上げてやっと微増するのであって、1日さぼったら元の調子にもどすまで3日くらいかかるし、1週間さぼったら2週間かかるし、1ヶ月さぼったら3ヶ月くらいかかるわけです。維持するのは大変ですが、落ちるのは一瞬ですから。

だから、「夏休み頑張る!」と気張って、結果が出るのは1学期のあいだすでに全力で突っ走っている生徒であって、そういう生徒はぜひ夏休みは朝から晩まで自習室なり図書館なり自室なり、こもってほしいわけです。

とくに1・2年ですよね〜。正直高3になると、周りもたくさんやっているので、それこそ1日10時間とか12時間を毎日やってかないと、差は埋められないですよ。特に、上位の大学を狙う生徒。

でも高1、高2のこの時期からテンション高くやっている生徒は、まだそんなに多くないわけで、夏休みに同じく10時間とか12時間やると、最終的に合格できる大学のランクが1ランクとか2ランク変わってくる可能性が十分あります。

で、表題に戻りますが、私の塾は高1の4月を除けば、入るタイミングの良い時期というのが皆無ですから、もし検討している人がいれば自分のタイミングでご連絡ください。

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