月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

100mを9秒台で走れない人は

大学受験というのは確かに16〜18歳時点での頭の良し悪しが関係する争いではありますが、勉強というのは努力でなんとかなってしまう部分が多い。しかも、毎年受験者がごっそり入れ替わるので、前から居座っているドンには絶対に勝てないというのがないんです。

たとえば商売なら、先にやったもんがちなところが大きいので後から参入すると条件が大変厳しくなるわけです。私がやっている学習塾なんて成熟しきった市場ですから、河合塾とか駿台とか、そういう大手に普通は勝てっこないし、ゼロから立ち上げてトップクラスの結果を出すというのはほとんど可能性がありません。トップを取りたいと思ったら、今から新しく立ち上がる市場を見極めて、市場を作っていく必要があります。

もしくは、天下を取りたいとおもったら1600年に生まれるのでは遅すぎるし1500年では早すぎる。1550年くらいにタイミングよく適度な家柄に生まれないといけない。でも、生まれる年も家も選べませんよ。天下を統一したいと思っても、生まれた瞬間に成否がほとんど決まっているわけです。

一方で、大学受験なら高校の3年間をやりきるだけで十分トップを狙っていけます。たしかに都市部のほうがまともな高校が多いし、それなりに学歴のある父ちゃん母ちゃんの家に生まれた方が中学受験に恵まれるなど好条件であることでしょう。しかし、公立高校だからといって完全に詰んでいるわけではないし、やり方を間違えなければ十分戦っていけます。とびきりの予備校や塾はなくても、とびきりの参考書は日本全国どこに暮らしていようがamazonで3クリックもあれば買えます。参考書だけで大学受験を成功させた田舎の高校生なんて毎年何千人も居ると思いますよ。

これだけフェアな競争はおそらく人生で最後の競争です。ここで頑張ればなんとか自分の人生の舵を大きく切ることが出来る。他の国はどうだか知りませんが、日本は努力で人生を切り開ける可能性がある国なのだから、恵まれているとしかいいようがありません。

高校受験と大学受験は意味が全く違います。高校受験には3年後の大学受験がありますが、大学受験の4年後の就職活動は、公平さなんて全くない容赦ない世界ですよ。東大には東大レベルの就活があり、早慶には早慶レベル、マーチにはマーチレベル、完全に世界が違いますから。

100mを10秒切って走れる能力もなければ、おじいちゃんが総理大臣でもない、能力もコネもない凡人は、ここで本気を出しとかないといけないんですよ。

わかりました?私の可愛い塾生諸君。これを読んだら、スマホの電源を切って、英単語100個覚えて青チャート10問解いてから寝なさい。いつやるの?今日でしょ。以上。

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blogで勉強方法公開しちゃっていいの?問題

blogでは私が常々考えているくだらないことから、具体的な勉強方法まで色々書いていますが一番の目的は私の考えを知ってもらうことです。私の塾はまだ生徒数も多くないし、開いてから3年たっていないので、入塾を検討している人が事前に手に入れることが出来る情報がほとんどありません。「あそこは良かった」とか「追い返された」とか、噂をたてる人がそもそも少ないですから。

個人塾というのは、私と生徒の相性勝負みたいなところもあるので、こうやってblogに色々書いておけば「この人は良さそうだ」「近寄っちゃいけなそうだ」ということを、おのおの判断できるでしょう。なので、思ったことや考えたことは片っ端からblogにして公開しています。

そのなかで、勉強方法というのはともすれば塾の商売上の秘密にしておかないで良いのか、と思う人も1000人に1人くらいいるかもしれませんので、この点について書いておきます。

どれだけ勉強方法を公開しても、私の塾生が不利になることは全くありません。そして、blogを読んだ人が有利になることもまたありません。

私の予想では、「へー、良いこと知った」と思った人のうち実際に行動する人はほとんど居ません。たとえばテレビですごく有名な予備校講師が「いつやるか?いまでしょ!」と、まさに受験の真実を伝えたところで「たしかにそうだな(鼻くそホジホジ)」と"思って"終わります。

大学受験の難易度が、過去数十年間ほとんど変わっていないことからも明らかです。iPhoneなんて10年前とくらべてものすごく進化しているじゃないですか。普通、知識が蓄積されるとものごとは進歩するんです。

でも、大学受験の難易度って変わらないんです。合格する人は10年前も今も、おそらくやっていることがほとんど変わらない。スタディサプリのような新しいサービスが登場しても、yahoo知恵袋で気軽に相談できるようになっても、なぜか大学受験というのは難易度が変わらないんです。

ということは、どんなに便利なサービスや分かりやすい授業があったとしても、毎年の受験生50万人のうち、実際にそれを利用して行動に移せる人は3%とか5%であって、その割合が変わらない以上、どんなに革新的なサービスが出てきてもそれが原因で不利になることも有利になることも考えにくい。

そう考えると、私がどれだけ有益だと私が思っている情報をblogで公開しても全く問題ありません。

一応、企業秘密的な位置づけにしてblogに書いていないこともあるんですが、それすら公開しても何ら問題になることはないと思います。これだけは生徒にしか教えたくないという私の気持ちの問題です。

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9月の赤本活用方法

志望校が決まり次第、赤本なんて高1でも高2でもさっさと買って机にズドンと置いておくのが良いのですが、実際に問題に手がつけられるのは現役生の場合11〜1月くらいになります。そもそも教科書の範囲すら終わっていないという場合もありますから。

でも今のうちでも活用することはあります。それは、だいたいの難易度と出題形式を把握しておくことです。

大学受験というのは合格最低点と自分の学力の差を埋めていく、問題解決力の問われるいわばお仕事です。この時期、赤本は全く手がつかなくても結構ですから、まずは手をつけてみて難易度と出題形式をつかみましょう。この2点がわかると、残り数ヶ月で自分はあと何をやっていかなければならないのかが明確になります。

 手をつけるというのも、問題を解きすすめられたらそれでも良いし、問題の意味を理解して解答を見てみるだけでも十分です。

 

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志望校決まりません

塾をやっていると「志望校、決まりません」という生徒と話しをすることがたまにあります。その時の私のスタンスは、ニュートラル。どこでも好きなところを目指しなさい、というのが原則の姿勢です。

医師、薬剤師、獣医師、弁護士等、なりたいものを明確に持っている生徒も少なくありませんが、私は高校生の時点で明確な夢や目標なんてないほうが普通だと思っています。だから、大学進学というのは後々そういう夢や目標が具体的になったときに、選択肢を狭めないようなものであれば十分です。一つ注文させてもらうとしたら、残り時間で目指せる最大限難しい大学を志望校にしてほしい、くらいです。それが一番可能性を残すものだと思うからです。

なので相談してもらっても明確に「ここがおすすめ」というのを伝えることはありません。ただ、生徒側に考えが全く無いということは基本的にないので、現時点で何をどう思っているのか聞かせてもらって、判断軸の参考になるようなことを助言できないかというのは考えています。

一番大事なのは原始的な感情、つまりあれがいいとかこれは嫌だとか、子供のわがままみたいな感情を持っていることだと思います。私の高校時代には、「早慶」という響きがかっこよかったので、早稲田か慶應のどっちかに合格できたらかっこいいな、とか考えていましたが、そういうレベルの話です。

長くてときにつらい受験勉強を乗り切るのに必要なのは、受かりたいという気持ちであり、その受かりたい気持ちというのは感情が原始的なほど強くなります。

「オープンキャンパスで○○大にいったら、地味な人しかいなくて絶対に行きたくないと思った」

と言う生徒がいましたが、こういう感情は大事にすべきです。極めて原始的。助言させもらうとしたら、逆に、雰囲気が良かったから絶対に行きたい、というところが見つかれば良いという話なので、「××大の文化祭でも見に行ったら?」という提案をしました。県外に興味がある場合(逆に言えば愛知県内に興味がない場合)に問題になるのは、県外のことはなかなかイメージが持ちづらいことです。イメージがつかないので志望する大学が見当たらないということになるので、大学について見たり聞いたりするインプットをしないことには話は進みません。

文化祭というのは正直いって大学生活そのものとはほど遠いのですが、どんな場所でどんな人がどんなテンションでやっているのかくらいは分かるので、ざっくりしたイメージくらいは持てます。THEキャンパスライフ的な観点で選ぶのなら、国立大より私立大、小規模大学よりマンモス大学という判断で方向としては間違い無いでしょう。 

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レジ速度を上げるのは誰の問題か 2

問題によって誰が解決すべきかというのは異なってきます。レジ速度の問題であれば経営者だろうし、13時〜17時というシフトの範囲でどうやって楽しく過ごすかというのは本人の問題です。もちろん、その境目があいまいなこともありますが、世の中すべての問題があいまいなわけではありません。

大学受験で考えるとどうでしょうか。

塾で言うと、授業の質をどうやって上げるかは私の問題です。「この授業わかりにくいなあ」と生徒が思ったとしても生徒側は「もっと発言をして、先生の説明が分かりやすくなるように誘導してあげよう」などと考える必要はないし、まあそういう発想もないでしょう。

生徒のやる気を上げるというのは誰の問題でしょうか。これは、生徒の問題です。勉強して受験に合格していくとかしていかないというのは、生徒本人がどうしたいかという問題であって私からしたら知ったこっちゃありません。もちろんお金を払って塾に来てもらっている以上、まともな授業をして、志望校に合格できるような道をある程度示してあげることは私の問題であり責任ですが、それを踏まえてやる気をだして頑張るか頑張らないかは生徒が選ぶことです。

だから仮に生徒がたいして勉強しないからといって、その行動について私がどうこう手を施すのはお門違い。ある人の行動はすべてその人の責任のもと行われるものであるし、小中学生ならまだしも高校生相手に介入してしまっては本人の成長を妨げることになりかねません。

とはいえ、「勉強やってほしい」という願いがあることも事実です。とくに私なんかは会社員時代に色々な会社を見ていくなかで、大学受験がその後の人生にどのくらい影響を及ぼすかを知っているわけですから、いっぱい頑張ってほしい。世の中の保護者のみなさまも、そうでしょう。高校はおそらくコッコウリツ合格者数レースに興味があるだけなのでちょっと違うかもしれません。

そこでどうしたら良いかというと、それでも自分の責任の範囲でどうにかするほかないと思います。知的な刺激をあたえる授業をするとか、成長が実感できるように問題の順番をうまくするとか、そういうことです。

生徒視点でみれば、今日はどうしてもやる気が出ない、でも毎日長時間勉強しないと受からない、では、やる気が出ないなかどうやって工夫して勉強できるだろうか、と考えて、その答えは勉強する場所を変えてみることかもしれないし、合格体験談を読んでみてイメージを持つことかもしれませんが、何にせよ自分で出来ることを考えて実行していくほかありません。

でもそれが物事を他人のせいにしない、自分の問題として考えるということの意味することなのでしょう。

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