月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

数学の予習で思考力がつく?

今日、某高校の生徒から「学校でつかうこの問題集の答えください」という依頼がありました。その際、数学の授業計画をまとめたプリントを見せてもらったのですが、そのなかに

「授業で取り組む問題をしっかり予習し、解答をつくり、当番の人は授業前に板書する」というようなことが書いてありました。

どうやら、予習で解答をつくることで「思考力を高め」そして、類題を演習することで「覚える」というのが目的らしいです。

以上について部分的に同意で、部分的に反対です。

まず同意できるのは授業の予習について。基本的な例題を覚えたあとで少々難しめの問題を演習するにあたって、授業前に予習して解いておくことで授業で「なるほどね」というポイントが増えて、勉強になります。どこがわかっていて、どこがわかっていないのかが明確になりますから。

ただ、これはあくまで高3の演習時期の話であって、高1〜高2で例題をひたすら覚える時期はいくら考えたって解法なんて普通思いつきませんから、やる必要はありません。予習ゼロで復習に力を入れてほしいです。

では無理に解答を作る必要があるのかというと、そこまでしなくても良いです。見せてもらった問題集のレベルは青チャートと同じくらいのものでした。青チャートというと高校生達は「難しい、応用」と思い込んでいるようですが、青チャートは入試数学でいうと基礎の部分で、とりあえず解法を覚えるための例題が掲載された参考書です。

解法をゼロからつくることに色々調べて1時間かけるくらいなら、与えられた模範解答の読解に15分、再現に15分の合計30分を使うほうが、はるかに効率が良いでしょう。

たしかに、難しい問題のなかには題意をくみとりよく考えないと解法を発想できないものもありますが、実はそこまでの難問は解けなくても受かる大学がほとんどで、東大、東工大、京大、国立医学部などを除けば、チャートや一対一レベルの問題の解法を覚えておくだけで合格点に届きます。

基礎の問題というのは思考力で解くものではなく、解きかたを覚えているかいないかというだけですから、思考力を養うまでもないと私は思います。

もちろん解法の手順それぞれに意味はありますから、「解法を覚える」といっても英文法や歴史のような単純にひたすら詰め込む暗記というわけではありません。ただこの段階において頭を使うポイントとすれば「二次関数の最大最小は関数の形状によって場合わけ」とか「階差数列は公式を覚えずにk=1から代入してたしかめる」とか「三角関数は単位円と加法定理だけ覚えてあとは導く」とか、くらいなもので、数学の思考力とはちょっと違います。コツというほうが近いです。

「解答下さい」という生徒のなかにはただラクをしたいだけという生徒と、もっと大事なことに時間を使いたいという生徒の2パターンがありますが、もちろん私の塾には前者のような生徒はいません。後者のような将来のある若者にはせっせと解答を入手して、持たせてあげることになります。 

清須市の大学受験 相伝学舎
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