1年前に東京学芸大のE類生涯学習コースを受験した生徒がいまして、ここはセンター900:二次500で、二次試験が小論文です。
1年前といえば清須校舎が燃えて後片付けをしていた時期ですが、後片付けをしつつ小論文の手伝いをしていました。その時、どうやって対策をしていたかを記録しておきます。
まず小論文というのは大学ごとに異なる性質を持っているというのが私の考えです。
A大学B学部の小論文と、C大学D学部の小論文では、とるべき対策が違います。
最初にすべきことは「出題者がどういう観点で学生を選別したいと考えているか」の分析です。
小論文を課す学部学科というのは募集人数がそもそも少ないところが多く、そういうところでは大学の先生が受験者全員分の小論文を読んで「この生徒は来て欲しい、この生徒はダメ」と判断しているはずです。得点は「○○が書けていたら10点」とかそういう刻みかたではなくて、来て欲しい学生はA、微妙な学生はB、まったくダメならC、みたいなざっくりとした判断ではないかと予想しています。
では学芸大の生涯学習コースの先生は、何を考えているのだろうかというのを、過去問をざっと眺めながら考えることになります。
過去10年分くらい入手して分析してみたところ、生涯学習コースの小論文の内容は「学芸大の生涯学習コース1年生がレポートで書いていそうなこと」でした。
そこで、生涯学習コースの先生がたは、「ちゃんと生涯学習コースで学ぶ内容を理解している学生に来て欲しい」と考えているのではないかと考えました。
センター900:二次500、二次は小論のみ、という試験なので、「生涯学習コースって何だ?でもA判定でてるからここに出願しておこう」みたいな生徒がこれまでいくらでもいたと思います。そういう生徒を排除して、ちゃんと目的意識のある人を選別したいのではないか。
とすると対策は「生涯学習コースで学ぶことを先取りして学ぶ」ことになります。
そのなかでも特に「生涯学習コースの必修授業をチェックしたらいい線いくだろう」と考えました。
大学の授業の情報(シラバス)はネットを探せばすぐに見つかります。
http://portal.u-gakugei.ac.jp/syllabus/
詳細をクリックすると、何曜日の何限かまで分かります。
私が知りたかったのは、必修授業の担当の先生の名前と、教科書です。
必修授業を担当している先生は、入試で小論の採点をしている可能性が高いです。
その先生が著作中で繰り返し説明していることがあって、その話題が出題されたときには、その説明を答案に書いておけばまず間違い無く合格でしょう。
教科書についても同様です。教科書にかいてあることが出題されたら、教科書のままかけば高得点がとれるはずです。
↑の画像見てみると先生は「柴田 彩千子」先生で、教科書は「テキスト生涯学習 新訂版」とあります。
その他にもいくつかの必修授業を調べて、以下のようなテキストを買いました。
地域の教育力を育てる:子どもとおとなが学びあう生涯学習社会に向けて
大学の教科書は高いです・・・。
この4冊をざっと読んで、最も効率よく入試に出題されてきた話題をカバーできそうなものを探しました。
(2月4日にLINEで送付してもらった過去問を読んだときに返事したもの(の復元))
フルパワーで探した結果、「テキスト生涯学習」が一番良さそうだったので、生徒にはこれを買っておいてもらって、過去問演習とは別でテキストの輪読(ただし担当者は生徒1名)を進めることにしました。
(2月8日に生徒に送ったLINE (の復元))
輪読というのは、
1.担当者が担当の章を読み、資料にまとめる。
2.担当者がその内容をプレゼン(説明)する。
3.プレゼンを聞いた人が、その内容についてツッコむ。
というプロセスで、理解を深めるというものです。
1章から最終章まで、その生徒にひたすら内容を説明させるというスパルタ指導を実施しました。
後日開示してもらった結果では、350点/500点 でした。
合格最低点はかなり余裕をもって上回っていました。
合格祝いに私が買った教科書は全部生徒にあげました。(ただし火事でススだらけ)
ところで得点が350点/500点とキリがいい数字なのは、
全然ダメ・・・150点
普通・・・250点
まあまあいい・・・350点
素晴らしい・・・450点
の4段階か、最悪・・・50点 を含めた5段階か、そのくらいのランク分けなのでは?
ということで、これから東京学芸大E類生涯学習コースを受験予定の人が幸運にもこのページにたどり着いたら、是非教科書を買って読んでみて下さい。入試過去問の見え方が変わると思います。
二次試験では「まあまあいい」のレベルを書ければボーダーを大幅に下回っていてもうかる(むしろ小論がダメならボーダーを上回っていてもおそらく受からん)ので、頑張ってください。
個人的には結構面白い学部だと思います。