月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

面談ってこんなハードだったか?

最近、高3の塾生と面談をしています。志望校がどこなのか、受験科目がなんなのかを確認して質問相談があれば答えています。塾を開いた当初はヒマだったこともあり結構な頻度で塾生と面談をしていましたが、ここ数年はめっきりやらなくなっていました。

久々に個人面談をしていて、かつてしていたときよりも面談後にずっしり疲れます。

なんでかと考えてみたんですが、8代100名近くの受験生を見送った経験から、受験の結末が多かれ少なかれ予想できてしまうことが原因ではないかと思います。

昔は若さゆえ常に「なんとかなるから頑張ろう」と声をかけ続けていましたが、なんともならないラインが見えてしまうと、このまま励ましつづけるか現実的な話をするのか面談中にかなり考えます。難しい数学の問題を解くよりも頭を使うかも知れません。

最大限レベルが高い大学に合格する可能性を高めるという目標なら、仕上げられる受験科目数を見極めて取捨選択しなければいけません。たとえば同じ経済学部でも、名大は7科目にたいして名市大は4科目です。滋賀大になればなんと3科目。

最初から4科目に絞れば名市大に合格できたかもしれないのに・・・という受験生が愛知県に何人いるでしょう。私なんかは捨てる行為が得意だから不要なものをバッサバッサと切ることができますが、「切る」ことを自然にできる受験生なんてめったにいません。

さらに私を悩ませるのは、最後受験で希望のところに受かったからといって全員が気持ちよく挨拶にきてくれるわけでもなければ、志望校に全然とどかなくてもお世話になりましたと挨拶にきてくれる人がいるという事実です。

あの生徒はもっとなんとかしてあげられたかも、と反省していると数年後に弟さんor妹さんが「兄/姉が通っていてよかったと聞いたので」と塾に来てくれることもあります。

まあ最終的に満足してもらえる/もらえないというのは神のみぞしるところですので、日頃は手を抜かずに真面目に働き続ける次第です。

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英語を英語のまま理解したい2

「とにかく多読して読めるようになれ」派の人は、「日本語を習得するときだってそんなに文法にこだわらないじゃないか」と考えているかもしれません。

たしかにうちの息子(2歳)は最近いろんなものを指さして「こえなあに」を一日に100連発くらいしています。もちろん

「こえ(れ)」が主語

「なあに」が「何ですか?」の「何」を口語にした表現

と考えているわけがなく、「こ」「え」「な」「あ」「に」という5つの音を発すると、大人が自分の知りたい答えを教えてくれると身体で覚えているから「これなあに」という質問になります。

おそらく母国語の発育はこのように音が先行します。

blog読者のみなさんも「ヤムオエナイ」という発音で会話できていてもそれが「止むを得ない」だと理解したのは言葉を使う経験より後だったのではないでしょうか。

文法を介さずに音から理解できるのは、幼少期に乗り物の図鑑をみて「これなあに」を100連発しながら「それは船だよ」とか「それも船だよ」などと、成長を願う親から愛のある返事を100回もらう経験をしたからです。

では中学生が英語を勉強するときに「ワッツディス?」と誰かに1日に100回質問できるでしょうか?もちろんできません。

だから私たちは、

 

This is a ship.

の下線部をたずねる疑問文は、下線部が名詞だから疑問代名詞whatを用いて疑問詞を文頭に出して、同時にVSの倒置を作る

 

という文法を用いて

What is this?

 

という3語を空欄に埋めるトレーニングをするのです。

 

 

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英語を英語のまま理解したい1

当塾では英語の精読を教えています。文の主語や述語、修飾関係などを文頭の大文字からピリオドまでできるかぎり理屈で読み解きます。「前置詞のついた名詞は主語になれない」とか「等位接続詞はかならず文法上同じ役割のものをつなぐ」といった文法を使いこなせるようになると、英語の意味を正しく読みとれるようになります。

しかし、世の中とにかく品詞と文法を嫌う人が多い。これらは英語を読むことをラクにしてくれるツールとして昔の日本人が作り上げた体系なのに、形容詞と副詞の違いすら理解せずになんとなく単語のツギハギで英文を読めるようになれるのではないかという幻想が広く信じられています。

その例が「英語を英語のまま理解」でしょう。

もちろん私たち日本人が本を読むときに「この動詞が上二段活用で・・・」などと理屈を考えないように、最終的に英語を文法を介さずに理解できることは理想です。

しかし中学1年生でアルファベットを「エイビイスィー・・・」と勉強しはじめた中高生がいきなり直読できるようになるわけがありません。

そこでまずは文法という翻訳機を使って意味を理解出来るようになる訓練をすることになります。当塾が得意にしているのはこの部分です。

そのなかで、

「to不定詞は名詞・形容詞・副詞の3つがあるが、SVOC構造が完結したあとは副詞用法が断然多い」

とか

「asは『とき・ので・ように』の意味があるが、as節内にbecomeやincreaseなど変化を表す表現がある場合は『つれて』の意味になる」

あるいは、

「現在形の時制が続いたあと、いきなり助動詞の過去形がでてきたら仮定法を考える」

といった、「第一感」を育てていきます。すると理屈で構成されたこの感覚が血肉となって、やがて文法を用いなくても英文を英語のまま理解することができるようになります。

それを「とにかく多読して英語のまま読めるようになれ」というのは、生まれたばかりの赤ん坊をプールに突き落として「泳げるようになってこっちに帰ってこい」というくらい危険で無責任な話。

 

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スケールが大きいとわからない

ご意見承る? の2を書こうと昨日の時点では思ってたんですが、書こうとしたことを忘れました。

 

野球賭博で何十億使ったとか使ってないとか話題です。

このくらいの桁になると現実感がなくて何がなんだかわからなそうです。

私なんて先日ボートレースにいきましたが、1レースあたり100円〜200円しか賭けないのにドキドキ楽しめるので安上がりな脳みそで良かったです。ちなみに今まで5レースくらい舟券を買ったんですが一度も当たってません。悲しいくらい運がないです。

 

お金にかかわらずスケールがあまりにも大きいと良く分からないというのはどこでもある話のような気がします。以前大学の先生(研究分野は大気水圏)が「地球環境とか宇宙みたいなスケールが大きいことは、みんな結構いい加減に発言してる」みたいなことを言ってました。実感のわかないことや確かめようのないことは大胆なことを言いがち、みたいな意図だったと思います。

受験生にとっての大学入試も似たようなところがあって、絶対にみんな最後は自分で入試を受けるという現実的な側面もあるんですが、それが「今から1年後です」とか一貫校の中学生にいたっては「6年後です」というケースもあるわけで、そうなると「数年後の話をされてもなあ」と非現実的な感覚に支配されがちです。

だからといって、現実的に思えてきた高3の秋から本気出す、とかだと基本的にはもうゲームオーバー状態。

なるべく高1、高2の早い段階で現実感を獲得しないといけないんですが、こればっかりは本人にしかどうしようもできないし、本人すら「どうしたらやる気でるんだろ?」とか思っている始末だったり・・・。

小学1年生のときアサガオを植えた記憶がありますが、芽がでるタイミングは鉢植えによって様々でした。でも同じ土、同じ種、同じプランターで育ててますのでせいぜいプラスマイナス2〜3日程度でみんな育っていった気がします。

受験勉強の現実感という芽ははもっと分散が大きいので、中学生で現実感を持っている人もいれば高3の直前になってもいまいち現実感がない人もいます。

 

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ご意見承る? 1

スーパーによくある、お客さんの意見&お店からのお返事コーナーを見るのが趣味です。たいていしょうもない質問で埋め尽くされているので、世の中こんなヤバイ質問をする人がいるんだと思って興奮してしまいます。

この手の質問は、質問者する人の怒りの沸点があまりに低すぎるというのが面白いポイントなんですが、なんでもかんでも掲載してしまって従業員の人に対する見せしめにならないか余計な心配をしてしまいます。質問の面白さと、心配のミックスした感情を味わえるというのもまたわびさびがあって良いんですが・・・。

写真の質問でいうと、安売りスーパーにどんだけ上品な接客求めているんだよ、というツッコミポイントと、店長はへりくだりすぎだろという心配ポイントが太平洋で接する親潮と黒潮のように一枚の紙のなかで接しています。

ちなみに私にとって仕事は遊びみたいなものなので、あんまり塾生に要望を聞くことはありません。クレームなんて言われたらショックで落ち込んでしまいそうです。

 

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