「とにかく多読して読めるようになれ」派の人は、「日本語を習得するときだってそんなに文法にこだわらないじゃないか」と考えているかもしれません。
たしかにうちの息子(2歳)は最近いろんなものを指さして「こえなあに」を一日に100連発くらいしています。もちろん
「こえ(れ)」が主語
「なあに」が「何ですか?」の「何」を口語にした表現
と考えているわけがなく、「こ」「え」「な」「あ」「に」という5つの音を発すると、大人が自分の知りたい答えを教えてくれると身体で覚えているから「これなあに」という質問になります。
おそらく母国語の発育はこのように音が先行します。
blog読者のみなさんも「ヤムオエナイ」という発音で会話できていてもそれが「止むを得ない」だと理解したのは言葉を使う経験より後だったのではないでしょうか。
文法を介さずに音から理解できるのは、幼少期に乗り物の図鑑をみて「これなあに」を100連発しながら「それは船だよ」とか「それも船だよ」などと、成長を願う親から愛のある返事を100回もらう経験をしたからです。
では中学生が英語を勉強するときに「ワッツディス?」と誰かに1日に100回質問できるでしょうか?もちろんできません。
だから私たちは、
This is a ship.
の下線部をたずねる疑問文は、下線部が名詞だから疑問代名詞whatを用いて疑問詞を文頭に出して、同時にVSの倒置を作る
という文法を用いて
What is this?
という3語を空欄に埋めるトレーニングをするのです。