当塾では英語の精読を教えています。文の主語や述語、修飾関係などを文頭の大文字からピリオドまでできるかぎり理屈で読み解きます。「前置詞のついた名詞は主語になれない」とか「等位接続詞はかならず文法上同じ役割のものをつなぐ」といった文法を使いこなせるようになると、英語の意味を正しく読みとれるようになります。
しかし、世の中とにかく品詞と文法を嫌う人が多い。これらは英語を読むことをラクにしてくれるツールとして昔の日本人が作り上げた体系なのに、形容詞と副詞の違いすら理解せずになんとなく単語のツギハギで英文を読めるようになれるのではないかという幻想が広く信じられています。
その例が「英語を英語のまま理解」でしょう。
もちろん私たち日本人が本を読むときに「この動詞が上二段活用で・・・」などと理屈を考えないように、最終的に英語を文法を介さずに理解できることは理想です。
しかし中学1年生でアルファベットを「エイビイスィー・・・」と勉強しはじめた中高生がいきなり直読できるようになるわけがありません。
そこでまずは文法という翻訳機を使って意味を理解出来るようになる訓練をすることになります。当塾が得意にしているのはこの部分です。
そのなかで、
「to不定詞は名詞・形容詞・副詞の3つがあるが、SVOC構造が完結したあとは副詞用法が断然多い」
とか
「asは『とき・ので・ように』の意味があるが、as節内にbecomeやincreaseなど変化を表す表現がある場合は『つれて』の意味になる」
あるいは、
「現在形の時制が続いたあと、いきなり助動詞の過去形がでてきたら仮定法を考える」
といった、「第一感」を育てていきます。すると理屈で構成されたこの感覚が血肉となって、やがて文法を用いなくても英文を英語のまま理解することができるようになります。
それを「とにかく多読して英語のまま読めるようになれ」というのは、生まれたばかりの赤ん坊をプールに突き落として「泳げるようになってこっちに帰ってこい」というくらい危険で無責任な話。