月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

単語は中学レベルだが誰も読めない恐怖の英文

In the 21st century it is our job to get this point across to people, to show them that they can use what music has taught them to help themselves to live their lives.

某大学の入試英文より。

単語はすべて中学生レベルですが、これを正確に読める高校生は進学校でも100人に1人とか、たぶん下手したら学年全滅というところもあるんじゃないでしょうか。

to不定詞を正確に判別することができれば、結構いけます。

まず1つめのto getは仮主語itが受ける名詞用法。「私たちの仕事は-することだ」。形容詞用法でour jobにかけるのは、考えすぎですが偏差値60くらいの間違えかたです。それ未満の生徒はそもそも形容詞用法ではというセンサーがはたらかないので、逆に正しくよめるかもしれません。

2つめのto showは、直前のコンマで文が切れて一息ついていることと、コンマまででSVCが完結しているので副詞用法・目的という予想がつきます。that節にうつります。

what music has taught them「音楽が教えてきたもの」。このwhat節がどこで閉じるかが、難しいところです。それは3つめのtoをどう考えるかで決まります。

to help themselves 自体は副詞用法だと予想がつくとして、what節内のtaughtにかけるかthat節内のuseにかけるか。意味の通るほうを考えてもいいですが、themselvesについて考えれば理詰めで判別が可能です。

themselvesは再帰代名詞といって、文の主語と動詞の目的語(もしくは前置詞の目的語)が一致する場合に使われる名詞です。They help themselves.という形でつかうということです。ここではhelpは述語動詞ではなく不定詞なので、helpの意味上の主語がtheyだということ。to不定詞の副詞用法は意味上の主語がfor Aの形で明記されない限りは文の主語と一致します。つまり、to helpは they can useにかかるので

they can use [what music has taught them] to help themselves to live their lives.

こうやってwhat節を閉じてやればあとは意味を考えるだけ。最後のto liveはもちろん、help A to doの語法です。さすがにこれを知らない受験生は、大学へ行く資格なし。

訳は

「彼らは自分の人生の助けとなるために音楽が教えてくれたものを使うことができる」

to不定詞の副詞目的は前から訳してもいい感じになるので、

「彼らは音楽が教えてくれたものを利用して、自分の人生に役立てることができる」

 

全体は、

「21世紀における私たちの仕事とは、音楽が教えてくれたものを利用して自分の人生に役立てることができるということを示すために、人々にこの点を理解させることである」

こんな感じでしょうか。

 

文法問題をどれだけ覚えても英語は読めるようにならないと私が述べているのが少しは分かっていただけるのではないでしょうか。

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