数学の基礎が「簡単な問題を解けること」と勘違いされているのと同じように、英語もまた基礎に関する勘違いがあります。それは「単語と文法を覚えて、長文問題に取り組む」ということです。これは明らかな勘違いです。
この勘違いもまた、中学時代の勉強習慣から来ています。高校入試を思い出してください。教科書の単語と文法を覚えたあと、何をしましたか?もう一冊くらい文法の教材に取り組んだあとで、長文問題や過去問題に取り組む、そんなところでしょう。たしかにこれで入試問題は解けてしまいます。高校入試に正確な英語読解力は不要で、なんとなく単語が分かれば読めてしまうからです。
これと同じノリで、大学受験でも学校で渡された単語帳を覚えて、高校入試よりは分厚い参考書を暗記して、あとは長文問題の参考書を取り組んで・・・と英語学習の見通しを立てていることはありませんか?
英語の基礎とは、単語と文法を覚えることではありません。英文構造を正確にひもとく能力のことが、英語の基礎です。
そのなかでも最も大切なことは、主語と述語動詞の見抜き方です。これが簡単なようで意外と難しいのです。次の英文を読んでみて下さい。
The fact that in half the countries of sub-Saharan Africa the survival rate to the last grade of primary school is 67% or less is not irrelevant to prospects for overcoming the region’s marginalization in the global economy.
主語は簡単で、The factです。主語は文の一番最初に出てくる、前置詞のついていない名詞です。The factが主語でその次のthatはThe fact that(S+V)で「(S+V)という事実」、という意味になる同格接続詞です。The factという名詞が同格接続詞を導く名詞だと分かっていれば一発で見抜けますが、知らなかった場合はthat節の構造を見れば判別可能です。
では、The fact以下に述語動詞となりえそうな、一見動詞にみえるものを探してみましょう。
survival, rate, is, is, prespect, overcoming
「いや木村さん明らかにsurvival, rate, prospect, overcomingは選択肢にならないでしょう」というツッコミをしたあなた。あなたは優秀です。しかし、これを高校生に読ませると文が長いがゆえに、冷静に考えれば動詞ではないものもなんとなく動詞に読んでしまう、おそろしい話がこの世にあるのです!
文の述語動詞を見抜くにはthat節がどこで終わるかを理解しなければいけません。that節は
in half the countries of sub-Saharan Africa
はin half A「Aの半数で」という副詞で、
the survival rate to the last grade of primary school
がSです。
is 67% or less
がV,Cにあたり、SVCで節が閉じました。
ということで、文の動詞はその直後の isであることがわかります。
The fact is nor irrelavant.(事実は無関係ではない)
というSVCが文の骨格だと分かりました。
主語と動詞の判別以外にも、等位接続詞のつなぐもの、動名詞と目的語、複雑な比較、副詞→副詞句など、読解方法を訓練しなければならないポイントはいくつもあります。しかし、こういう勉強を取り組む生徒は少ないし、そもそもこういう勉強があることを知りません。ブログで何度も書いていますが、英語で最優先なのは英文解釈という勉強です。文系の生徒は、古文で助動詞の識別の勉強をしますが、それの英語版と考えてもらえば近いです。
塾に新しく来た生徒たちに1ヶ月くらいたったあとでインタビューすると「今までなんとなくでしか読んでませんでした」と、みんな言います。