月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

真夏の方程式(東野圭吾)

娘が最近「かいけつゾロリ」とかいうシリーズ物にハマっているので近所のブックオフに二人で行って古本を漁るなどをしています。

娘に本を買ってやるついでに、自分も時間の無駄をしようと思って小説を読むことにしました。

あんまり詳しくないので本棚にたくさん並んでいるもの(=古本がたくさん流通しているもの)=まあまあ面白い、という仮説をたてて選びました。

一冊目はこれ

 

以下ネタバレしつつ感想文を書きます。

だいたいのあらすじは、

寂れた港町の旅館の宿泊者の一名が死亡

最初は事故死と思われていたが実は殺人

犯人は旅館のオーナーで死亡したのは元刑事

旅館のオーナーは妻と娘がいるが、実は娘はオーナーの子ではなくて妻の元浮気相手の子。

これに15年ほど以前、これに気づいて妻をゆすろうとしてきた妻の元同僚のホステスを娘が刺し殺す。

異父が娘をかばって自分がやったと警察に自首。

これを捕まえた刑事は、捕まえながらも違和感を感じ、退職後も出所した犯人を捜して見つけて問い詰める。

犯人(異父)は口を割らないが病気が進行し衰弱してきたためとうとう本音を話す。

これを聞いた元刑事が旅館をたずねて娘&妻に近づいて「お父さんをお見舞いにきてあげてください」と接近。

オーナーが元刑事を事故死と見せかけて色々仕掛けて殺す。死体の処理を妻が手伝う。

最後、オーナーは自分が一人でやったと自首して共犯の妻をかばい終了。

 

登場人物のほぼ全員が大小様々な嘘をついてストーリーが展開していきます。その嘘によって話がこじれる一方で、その嘘があるから色々なことが絶妙なバランスを保ちます。嘘といっても悪質な嘘ではなく、相手のためを思ってついた愛情ベースの嘘です。最後ストーリーは良い感じでまとまるので読み終えてスッキリ。

唯一、登場人物のなかで妻をゆすろうとしてきた元同僚のホステスが救いようがない性格悪いキャラで諸悪の根源なんですが、わりとあっさりと刺し殺されてしまうのであまり胸くそ悪い展開になりません。

刺し殺した娘をかばって自首した異父(本当の父)は、実の娘が刑務所に入るくらいなら自分が入るという後腐れ無い愛情を表現しているのも爽やかです。

ただツッコミどころがないわけではなく

・異父(本当の父)は浮気した一晩で子ども作るな

・オーナーが元刑事を殺すのはちょっと気軽に殺しすぎ

など多少違和感がありますが、小説ってそういうストーリーのしわ寄せ部分みたいなのがあるものなのかもしれません。

 

面白度:コンパス4つ

🧭🧭🧭🧭◯

 

 

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