月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

時間を犠牲にして獲得できるもの

最近うちの娘が外でバッタやらカマキリやらトカゲやらいろんな昆虫を捕まえて持って帰ってきます。

我が家にある虫かごをフル動員して収容するんですが、娘は見るだけでたいして世話をしないのでやがて死んでしまいます。

まだ幼稚園児なので生き物が死んで可哀想だという感覚があんまりないのだとおもいます。虫たちには申し訳ないですが、生き物をいつくしむ心の発育のために犠牲になってもらっています。

人間はある種の感情を時間や経験とともに獲得していきます。

将来のために勉強したいという気持ちも同じです。ほとんどの人は受験直前までにその気持ちを獲得します。したがって保護者の世代の大人はみなこの感情を持っています。未来のために今行動することができます。

しかし中高生がこの感情を獲得しているかはかなり個人差があります。多くの場合、高1〜2くらいだと未発達のままです。高校受験の経験はどうなった?と思うかもしれませんが、高校受験は全期間の9割が定期テスト対策でラスト1ヶ月だけが受験勉強なので、将来のために時間を使うというよりは目の前のイベントを消化する時間を過ごすことで終わってしまいます。

幼稚園児にとって生き物の命は尊いものだという感情が、どれだけ親が「かわいそうでしょ」と言っても理解されないように、将来のために勉強することに価値があるという感情も他人に言われたところで普通はピンときません。

昆虫が犠牲になるように、時間が犠牲になります。でもそれは省略できるものではありません。