長崎県は島原市にいって雲仙普賢岳で有名な溶岩ドームを見てきました。
ドドン
火山岩は起源となるマグマの種類によって、SiO2の濃いものから「流紋岩」「デイサイト」「安山岩」「玄武岩」になり、この順にマグマの粘り気が強くなります。
マグマの粘り気が強いと、噴火したときにできあがる山がこんもりと盛り上がります。
溶岩ドームは、その盛り上がった山の頂上付近のことを指します。
この写真のちょうど頂上付近。これが平成新山と呼ばれる溶岩ドームです。
30年前に噴火して犠牲者もでました。
このyoutubeみると「マスコミの人って映像のためならなんでもするんだな」と印象をもつと思います。
実際に私も以前はそのような感想を持ちました。
でも実際に島原にきて山を眺めてみると、急斜面にそびえ立った山にどこか神々しさを感じ、ずっと眺め続けたい気持ちになりました。
単純に映像のためだけでなく、そういう自然に対する好奇心をかきたてる何かがあるように感じました。
溶岩ドームとはこの山頂付近のみを指しますが、山全体も傾斜が急で、車で進むと燃費メーターがつねに10km/L未満を指し続けます。
火砕流がこの近辺を襲ったということもありますが、雲仙普賢岳のある島原市は人々の生活エリアが山の麓に集中していて標高がちょっと高くなると人の気配がなくなります。
これは別途紹介する、佐賀県呼子の玄武岩の台地とは対象的です。
山の斜面から有明海を望みます。
急斜面のため絶景です。
谷地形を眺めると、火砕流の足跡を感じました。
近辺におちている岩石をゲットしました。持参したハンマーで成形済み。
さてこの岩石は何でしょうか?
赤褐色の基質で斑晶は多く石英・長石・黒雲母・角閃石が見つかります。
もちろんデイサイトです。
今までデイサイトは風化しきったものしか持っていなかったので、新鮮なものをGETできて嬉しいです。
高校生向けの地学基礎授業で早速活用しました。
ところでデイサイトって、チョコミントアイスみたいに見えるんですがみなさんどう思いますか?
地質図で確認すると、「岩相:デイサイト」とあります。この海に向かう赤い色の部分が30年前の噴火によるものです。
山を下りるときに気になったのが、砂防ダムです。
火砕流を防ぐのが目的で比較的新しい建造物ですが、砂防ダムとしてはものすごく大規模です。
愛知県にある砂防ダムはせいぜい幅が10mくらいの小規模のものですので、異様に見えました。
地図にすると砂防ダムだけでちょっとした住所がつきそうです。
本当は、もうちょっと奥まった露頭を観察する予定だったんですが、当日悪天候だったため博物館で学習することにしました。
がまだすドームです。
わりと新しい博物館らしく、ところどころデザインもいけてます。
入ってすぐ、火山噴火物の剥ぎ取り標本がありました。
剥ぎ取り標本とは、実際の露頭をそのまま剥ぎ取って展示するものです。
露頭って素人がみるとただの地面の肌でしかないので、こうやって屋内で展示してもらえると大学の先生に説明してもらっているようで勉強になります。
勉強になるわ〜と思って手帳にメモしてたら
「自分のメモですか?」
と職員のかたに話しかけられて
「今日、お客さん一人しかいないので、定時の映像の上映すぐ流しますよ」
と提案していただけて、お言葉に甘えて上映を鑑賞することにしました。
この上映、劇なんですがなんと全て自動で動きます。テスラもびっくりの自動劇でした。
15分程度の劇だったんですが3回くらい声だして笑いました。
ものすごく面白かったです。作り手の情熱を感じました。
劇を見終えたあと再び館内を回りました。
中庭に溶岩(デイサイト)の展示がありました。
博物館で岩石を予習しておくと現地でみるときに判別がしやすくなります。
ちゃんと断面が観察できます。
当日は濡れていたので余計見やすかったです。
こちらは床下に火砕流が木々をなぎ倒した様子を展示したものです。
火砕流のスピードに合わせて赤いライトがつくんですが、速すぎて良く分かりませんでした。
時速100kmは秒速30mですので、20mほどの展示では1秒足らずとなります。
島原半島はなんと400万年前は海で、そこからの火山活動でできた半島です。
そのため上空からみると綺麗に円形になっています。
実際には、火山活動と断層活動によってできたようです。
これいいなと思ったのが、トイレの表示。
これもしっかりデイサイトでした。
ちゃんと断面を研磨してあっておもてなしの心にあふれてます。
デザインしたひと!ちゃんとメッセージ受け取りましたよ!!
常設展示の外には子供があそべるボーネルンドみたいな場所がありました。
うちの娘と息子と妻をここに放置して、小一時間勉強しました。
島原市は災害を乗り越えた街としてのエネルギーと自信を感じました。
話しかけてくださった職員のかたも明るく、観光客を大切にしていると感じました。