月刊木村:清須市で営む塾での日々

相伝学舎という塾を経営しています。好奇心の格差時代に、大学受験を通じた成功体験の場を提供することが使命です。

問題集のパラドックス 答え

数学の教科書問題集、つまり、4ステップ、クリアー、サクシード、をメインに勉強することはおすすめしません。

 

問題1.解答集が配られない

すでにblogで何度も記事にしています。みんなのために配りましぇん! - 月刊木村:清須市で営む塾での日々

 

問題2.取り組み方がヘタ

これらの問題集は「テスト範囲をノートに書いて提出」とする高校が多いです。中学生相手にするような宿題を平気で出してくるのが高校です。そんなことには何も疑問をもたず、普通の高校生は言う通りに解きすすめるわけですが、ノートに計算するとどうしても最小限のスペースで最小限の解答を書こうとしてしまう。そうすると解ける問題も解けなくなってしまいます。

また、学校の宿題として問題集を解く生徒は、間違えたら赤ペンに持ち替えて正しい答えを隣に変えて「ボク、やり直ししたよ」と言わんばかりのノートを作ります。でも、それって意味ある?やり直しのために赤ペンに持ち替える必要なんてありません。正しい答えを写して、その場でその答えを再現できるかもう一度解いてみて、翌日にさらにもう一度解いてみる、ということの繰り返しをすれば良いだけ。計算ノートに見栄えなどいらないのです。でも、しぇんしぇいにていしゅちゅするためだから仕方ないよね。

 

問題3.解答が難解

めでたく解答集が配布されても、相当シンプルな解答しか書いてありません。数学の自習で一番時間がかかるのは、模範解答の読解です。2行目から3行目まで、なぜそういう変形が出来るのか、なぜそういう発想が出来るのか、ということに頭を使うのです。親切な参考書の場合、その指針の説明がとても多いのにたいして、教科書問題集というのはそれがほぼゼロ。

たとえば高1ではやや難しめの円順列の問題で、比べてみます。

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私の塾でハイレベルな生徒におすすめしている一対一対応の数学では、赤線内が解答でその他は全て解説です。

一方、とある教科書問題集だと似たような問題の解答がこうなります。

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青チャートだと少し解答が増えますが、それでも普通の高校生にはキツイと思います。

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こういう解答だと「この問題は、こういう解き方に当てはめて解ければいいか」と高校生が思わざるをえない。定期テストでは覚えたばかりの問題が出題されるし、しかも数字がちょっと違うくらいでほとんど同じ問題を解けばよいので、教科書問題集の解答を片っ端から暗記していけば上位をとれます。

しかしこういう勉強の仕方では2週間後にはキレイさっぱり解法を忘れてしまっているので、模試で類題を与えられたら、解き方が全く分からない、ということになるのです。ましてや大学入試は「この問題、半年前に一回解いたな」という問題を解ければ合格、解けなければ不合格という世界なので、解法を覚えるより解法の背景にある考え方を覚えて、その場で思い出しながら解けないといけないわけ。 

かくして、定期テストができるが模試になるとイマイチ、という高校生が量産されます。勉強した気になっているだけ、症状を自覚できないのが悲劇を引き起こします。

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