中学生の生徒が、「ギリギリで高校に合格したら入学後の勉強が大変だよ」と言われたとか、言われていないとか、言っていました。
これに対する私の見解は、中学生活の延長と考えれば正しい、しかし大学受験を考えれば正しくない、です。
高校受験と大学受験は性質が異なります。
まず高校受験について考えます。中学生は定期テストと高校入試と大きく2種類のテストを受けます。定期テストにおいては1ヶ月〜2ヶ月程度で学ぶ、教科書の極めて狭い範囲から基本的な問題が多数出題されます。2週間のテスト勉強で8〜9割とれれば上出来という競技です。それを3年間続け、最後の高校入試も今までやってきたことを冬休みくらいから一通り思い出して過去問題にあたり8割程度とれるようになればたいていの高校は合格してしまうでしょう。
たいして大学受験は大きく一般入試と指定校推薦入試がありますが、この辺の高校では指定校推薦枠があっても推薦しないというところが多いので、一般入試が中心になってきます。
一般入試とは高3の2月に受験するペーパーテストの素点で合否が判断されます。合格点は多くの大学で6割前後であり、合格点が6割ということは平均点が4割とか5割というレベルの問題ということです。難しい問題を出題して差をつけるという性質です。
さて、高校生活をどう過ごすかによって表題の質問はYES/NOが分かれます。高校に入っても高校の定期テストをしっかり取り組んで、学校の宿題をやって大学受験に望むというスタンスで過ごすのであればYESと答えてよいでしょう。一方で、高校のテストよりとにかく大学が出題する一般入試の問題を解けるようになることに集中したい、というスタンスで過ごすのであればNOになります。
中学時代に勉強が得意だったからといって、高校の(大学受験の)勉強が同じように得意でいられるかは別問題なのです。中学の勉強は短い範囲を要領よく暗記することが重要で、勉強の本質がどうのこうのよりも表面的な解法でもいいからスピード重視であればあるほどよい、そんな感じです。一方で、高校の勉強(大学受験の勉強)とはとにかく広い範囲から難問が出題されますので、時間がかかってもひたすら本質的なことを学び続ける能力そしてそれを3年間という長期にわたって、計画的に取り組む能力が求められます。勉強に加えて、そういう風に自分を自分で管理する能力というのが必要なんです。
中学の勉強と高校の勉強とは似て異なるものです。
100m走の早い者順で350人の生徒を集めて水泳を競わせたら、必ずしも100m走の順位にならないのと一緒です。
というわけで表題の質問への回答としたら、「高校生になってからの勉強の出来不出来はある程度中学時代の学力と関係があるが、それは絶対的なものではないし、入学前から気にしなければならないほどのものとは到底言えない。というか、合格してから心配すればよろしい。」ということになります。