塾でも学校でも信じ切るのが大切だと書きましたが、危険なのは完全に独学でやること、すなわち自分だけを信じてやることです。完全にまでとはいかなくとも、指導者と自分の判断を半々くらいで入れてしまうと危険性が高まります。
いくつか理由はありますが最も大きいのは独学でやる(自分の判断でやる)と長期的に考えることが難しいというのがあります。
塾では生徒の目先の満足度を考えることもたまにありますが、基本的には受かってナンボだと思っているので入試当日にその生徒の学力が最大になるように計画をたてて「あれやってこれやって」という話をしていきます。
事例で長期視点、短期視点それぞれ考えてみます。
高2の途中入塾で数学がやばいケース(学年の下位50%くらい)
長期視点
最初の2ヶ月くらいひたすら二次関数を取り組ませます。二次関数には高校の数学で必要な解法や考え方のエッセンスが詰まっています。二次関数の分野を、「解法暗記」ではなく「意味で理解」できるようになることを優先にします。二次関数が終わったあとは三角比をやって、その後は範囲はある程度自由に選んでOKです。
短期視点
「次の定期考査の範囲を完璧にする」か「数Iの教科書の1ページ目からやりなおす」になります。思いつきにすぎません。
高1入塾で英語のレベルを上げるケース
長期視点
シス単Basicの1-900を2ヶ月程度で暗記します。並行して英文解釈と英文法を同時に扱っていきます。大学受験の英語では、与えられた英文の意味を正確に読めるだけでほとんどの大学で合格点を狙えます。英文を正確に読む練習が英文解釈です。文法の学習も英文解釈に関連させたものであるべきです。
短期視点
「学校の単語テストを完璧にする」とか「本屋で買った英文法の基礎問題集を取り組む」になります。独学でやると英文解釈の勉強をするという発想がそもそもないです。とくに公立高校生、すなわち高校入試受験者は英語の勉強を「単語、文法、長文」と思い込みがちですがこれは誤りです。
教える側は、
・これまで様々な生徒の高1〜高3までの軌跡をみた経験がある
・入試で合格点を取るために必要な学力の要素を知っており、身につける方法も知っている
という条件のもとで、判断をしていきますが、生徒側が見ることができるのは
・自分の現在の学力(すらわかっていないケースも多い)
・目の前の問題を解けたら入試問題も解けるようになるはず(かなり甘い見通し)
なので、判断に差があります。
私は種をまくようにしてアドバイスしたり、授業をすすめるのですが生徒が自分で判断するとどうしてもいきなり収穫するような発想になりがちです。
塾に属していない高校生は、塾というものがこのように新しい視点を得る場所なのだということを認識していただきたいし、塾にすでに属している高校生は、自分が短期的な視野になっていないかを振り返ってみてください。