一見、二次方程式の解の個数を調べるツールとしかみえない判別式Dですが、判別式の意味を理解すれば相当な威力を持ちます。旧帝大志望の人はさすがにみんな理解しているでしょうけど、地方国立大くらいなら合否を分ける可能性が十分あるのではないでしょうか。
判別式の理解を判別できる問題が、青チャートの例題115です。
実数x,yがx^2+y^2=2を満たすとき、2x+yの取り得る値の最大と最小を求めよ、とのことです。
チャートの解答は、まず2x+y=tとおいて、y=t-2xと変形して、方程式に代入しています。そこまでは、「tと置くのはそういうもんなのだろう、代入したくなる気持ちもわかる」と、理解が出来るはずです。
しかし問題はそのあと、代入して得られた二次方程式に判別式をかましているのです!
これ、高1の段階で一発で理解出来る人は、おそらく100人に1人くらい?相当少ないと思います。
まず、いくつか実験してみてください。t=0という値を取ることはできるのか?という実験です。
t=0のとき、2x+y=0ですからy=-2xです。これを方程式に代入するとxの値が求まります。その値は実数です。
次の実験はt=4のときです。実は、y=-2x+4を方程式に代入すると、得られるxの値は虚数になってしまいます。だから、t=4という値はとれない、ということになります。
そう考えるとこの問題は
「tがどういう値なら、xとyは実数値になるか?」
と解釈することができて、つまり
「xとyが実数値をとる(=実数解を持つ)ようなtの範囲を求めればよい」
ということになって、判別式を使っているのです。
実は主役はtではなくて、実数x,yなのです。「私たちを実数にしてごらんなさい!」というx,yの声が聞こえてきたら、合格です。