普通、公立高校から医学部に挑戦するというのは1浪2浪を覚悟して、現役でいければ超ラッキーみたいな感覚ですが、高2の夏の模試結果をポジティブに解釈すれば最低限、記念受験にはならないレベルの学力を身につけていると考えられます。
定期テストの1位に意味はありませんが、実は模試でも1位に固執する必要はありません。もちろん、とれないよりはとれたほうが良いのですが、五条高校といえどもトップ数人はかなりの学力があるので、模試で1桁に絡むことができれば基礎学力は十分で、あとは志望校対策次第で射程距離に入ってきます。
結局、大学受験というのはセンター試験と各大学の二次試験で得点できれば良いのです。たとえば英語の記述模試では文法、内容一致、和訳、英訳と色々な問題が出題されますが和文英訳のない大学を受験するのに英訳の問題を解けるようになる必要はありません。射程距離に入っているかどうかを確認できれば十分です。
数学のほうは、この時期までは高校の授業の進度どおりに青チャートを進めていました。Kさんの非凡な能力その3は、青チャートを自習で進められる頭の良さです。塾の授業では青チャートを教えていますが、Kさんの場合、授業はとらずに自習で青チャートを進めていました。それでもまだ余裕がありそうだったので、青チャートの次のレベルの参考書として一対一対応の数学を高2の夏休みか秋頃か、そのくらいに紹介しました。Kさんから数学の質問を受けたことはほとんどありません。もともとの頭の良さと、ずば抜けた勉強量が数学力を支えていたのではないかと思います。
高2の9月で英数とも学年でトップ5%に上りつめていましたが、年明けの1月の進研模試では、英語が偏差値70、校内順位が353人中12位(トップ3%)、数学が偏差値75で2位に上昇していました。 私が見たかぎりでは、一つの参考書を毎日コツコツと進めていただけのようにみえます。塾での2年間を通じてKさんにはブレがありませんでした。英語に関して言えば伸び悩む時期もありましたが、だからといって勉強方法を変えるということもありません。伸びるまで続けるという良いお手本だと思います。
自習によって学力をつけるというのも、お手本というか受験のセオリー通りです。週に2時間きけば学力があがる魔法のような授業なんて存在しません。そういう授業があったとしても、授業をきっかけにして自習を頑張れるから学力があがるのです。そして、大学受験においては、どのタイミングで、どの参考書を、どのように取り組めば学力が伸びるのかというのが昔から決まっています。これから受験をする高校生はそれを真似すれば良いだけなんですが、公立高校の生徒というのはそういう情報に触れる機会が少ないのが現状です。