解答を丸暗記してしまうことにも効果があります。一般的には、「解答の意味が分かるから流れを暗記出来る」というのが勉強のよくある光景ですが、「流れを暗記したら解答の意味が分かる」ということもあるのです。
たとえば
3次関数 y=x^3-6x^2-9x+12へ、点(0,a)から接線を3本引けるaの範囲は?
という問題があるとします。解答の流れは、
1. 与えられた3次関数のx=tにおける接線の方程式を求める
2. その式に(0,a)を代入する
3. 代入した方程式が3つの実数解を持つtの範囲を調べる
となりますが、工程の2,3は問題に直接関係していそうなのにたいして、工程の1は一見遠回りをして居るように見えます。2,3ありきの1なので、初めてこの問題に取りかかるときに1を発想するのは難しい。一連の解答の流れを暗記したらやっと、1の工程の持つ意味が分かってくるわけです。
たとえば清須市から韓国に旅行する場合、地図上の最短距離を考えれば北西の方角に進み始めるのが合理的に見えますが、実際には一度セントレアに行かなければいけないので南下することになります。これは、地図上では逆行しているようにみえますが「セントレアから飛行機にのって仁川に向かう」という後ろの工程がみえているから、「取りあえず名鉄にのって南下」という選択が出来るわけです。
1というのは、2,3をするために必要な工程なので、ゴールから逆算した工程と言えます。海外旅行に行くときにも、「国と国の間は飛行機で移動する」ということありきなので、それを実現するためにまずはセントレアに向かう、という逆算思考を無意識にやっていますがそれと同じです。
数IIIで置換積分を使う計算をするときにはこの逆算思考が必要な場面が多いです。