だいぶ前(2021年5月)ですが静岡県焼津市の海岸で枕状溶岩を見てきました。
枕状溶岩とは、玄武岩質マグマが水中で急速に冷やされたときにできる岩石です。
海洋底にはマントルから上がってきたマグマが地表のニキビのようにポツポツと火山として現れる場所があり、ホットスポットと呼ばれています。
ホットスポットから湧き出たマグマは先頭が急冷して固まると、その後ろからまた新しいドロドロに溶けたマグマが吹き上がって水中に出てきたところでまた固まり、・・・をくり返すと枕みたいな形の岩石がたくさんできあがります。
このようにデコボコした露頭が観察できます。
枕状溶岩は形をよく観察すると冷え固まったときの鉛直方向を判別することができます。
こんな風に、後から出てきた溶岩(青色)は重力の影響を受けて元々あったところの隙間を埋めるように形成されます。
ちょっとわかりにくいですが、↙方向に重力を受けているように見えます。
玄武岩は火山岩ですので中学時代に習ったように石基と斑晶からなります。斑晶部分を作る鉱物は黒いのが輝石、白いのがCaに富む斜長石です。
上の写真は全体的に白っぽいですが岩石を割って新鮮な面を観察すると結構黒いです。
露頭を貫く数十センチ幅の筋が見えます。
これは岩石に後からマグマが割って入った形跡で、岩脈(ダイク)と呼ばれます。
割れ目が見えますが、形成後に圧力を受けてできたのでしょう。
間近で見ると黒い石基に白い斜長石のつぶつぶが無数にある様子は、宇宙を眺めているような気がします。
ホットスポットは太平洋ではハワイ付近にあるものが有名です。もちろん焼津市の枕状溶岩は、この海岸で形成されたものではありません。太平洋のホットスポットで形成されたものが年間に10cmほどの速さで日本列島に近づいてついに衝突したということになります。
およそハワイ付近(日本から6600km)にあったとして年間10cmで近づいたとしたら、6,600,000[m]/0.1[m/年]=66,000,000 [年]
6,600万年前というのはそれっぽい数字です。
実はこの枕状溶岩、海岸から離れた山の中にも見られます。
これは枕状溶岩というか柱状節理のようにも見えますが、位置的には海岸から車で10分くらいのところなので同じ枕状溶岩なのだと思います。海岸と違って波による浸食を受けないので角張ったままなのかもしれません。
さらに10分山の中を進むと、道路沿いに枕状溶岩が露出しています。
落ちている岩石を割って持って帰ってくればよかったんですが、1年前当時はそういう観察テクニックをあまり持っていなかったので表面的な写真ばかりです。